世界プー棒投げ選手権
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プー棒投げは世界プー棒投げ選手権 (World Poohsticks Championships) の開催によってより多くの観衆の前で行われることになった。年に一度、テムズ川沿いにあるドルシャー・オン・テムズ村(オックスフォードシャー)のデイズ閘門にて行われ、外国からの観光客を含む1500人以上の観客を集めている。地元の人間だけでなく、アメリカ合衆国、日本、ケニヤ、オーストリアといった諸外国からの出場者も見られる。この選手権は閘門管理人のリン・デイヴィッドによって、王立救命艇協会 (RNLI) への支援イベントとして1984年に始められた。デイヴィッドはそれまでに、塀の近くから棒切れを投げ入れる人を時おり見かけることがあったので、これをチャリティーイベントにすることを思いついたのである。棒切れを入れた箱と募金箱という準備だけで始まったこのイベントはすぐに年に一度の恒例行事となった。 この選手権のルールでは川の下流の離れた場所にゴールポイントが設定されており、先にそこを通過した棒切れの持ち主が勝者となる 。競技の種類は個人戦と6人一組のチーム戦の二種類である。個人戦では通常、決勝戦にいくまでに3試合を勝ち抜かなければならない。個人戦およびチーム戦の勝者にはそれぞれトロフィーが与えられ、また2位、3位の選手にもより小さいトロフィーが与えられる。この競技は運よりも選手の技術によって勝敗が左右される、という主張の存在に関わらず、個人でもチームでも複数回勝利した例はない。開催日はもとは1月に設定されていたが、1997年度の開催日が非常に寒冷であったため3月に移動された。 この競技は地域的な人気を獲得したことに始まり、やがて海外のメディアからも注目されるようになった。2002年までの間に、世界プー棒投げ選手権はRNLIのために3万ポンドの寄付金を集めている。リン・デイヴィッドが職を退いた後は、オックスフォードシャーのウォーリングフォードを拠点とするロータリークラブが運営を行っており、集められた寄付金はRNLIとロータリークラブのチャリティー企画との間で折半されるようになった。最初の開催から20年たつと、このイベントはさらに人気を増して世界中から観客を集めるようになり、その様子はロシア、日本、チェコのテレビ局でも報道された。さらにイギリスの公式ツーリスト協会ヴィジットブリテンは、プー棒投げを「英国の変り種イベント」集の目玉として扱った。 この選手権は2008年、ロータリークラブが会員の老齢化を理由に準備の困難を訴えたことで存続の危機に見舞われた。シノダンのロータリークラブ会長デイヴィッド・カスウェルはこう述べている「このイベントの準備には多くの重労働が必要だ。我々メンバーの何人かは70歳を超えており、もう年を取りすぎている」。しかしながらオックスフォード・スパイアズのロータリークラブは、この競技の伝統を未来の世代へ保存するためにイベントの運営を続行することを宣言した。オックスフォード・スパイアズの当時の会長リズ・ウィリアムソンは、このイベントは地元の人気イベントであり、英国人の風変わりな気質を世界に示すものとして今後も続けていくべきだと強調している。
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