三菱UFJ銀行の選別と撤退
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 07:39 UTC 版)
「指定金融機関」の記事における「三菱UFJ銀行の選別と撤退」の解説
マイナス金利政策が導入された2016年以降になると、中核市レベル以下の指定金融機関をめぐる動きが具体的なものとなった。 朝日新聞が調査した結果によると、三菱UFJ銀行は、2017年から2019年までの間に手数料等の値上げを要求し、要求が認められなかった大阪府・兵庫県の12市で市の指定金融機関を辞退した。 芦屋市(兵庫県)では、従来は三菱UFJ銀行と三井住友銀行の輪番制で、委託料70,200円/年、振替手数料5円/件、組戻手数料無料であった。三菱UFJ銀行は、委託料1500万円/年、振替手数料10円/件、組戻手数料800円/件を要求し、芦屋市はこれに応じず辞退となった。もう一方の三井住友銀行は、委託料400万円/年、振替手数料10円/件、組戻手数料600円/件の条件を提示し、芦屋市はこれを受け入れて、単独の指定金融機関となった。 摂津市(大阪府)では、従来は三菱UFJ銀行、りそな銀行、関西みらい銀行(当時・近畿大阪銀行)の3行による輪番制で、派出窓口業務事務手数料無し、庁舎内ATM維持管理手数料無し、振替手数料4円/件であった。三菱UFJ銀行は辞退し、残る2行は派出窓口業務事務手数料1080万円/年、庁舎内ATM維持管理手数料392万4千円/年、振替手数料10円/件の条件で継続となった。 河内長野市(大阪府)では、輪番制ではなく他に引き受ける金融機関も無かったため、三菱UFJ銀行の要求を受け入れ、2019年度から人件費1600万円/年、計装費400万円/年を新たに負担し、それに加えて2020年度からは口座振込手数料として自行宛て60円/件、他行宛て80円/件を負担することになった。 関西以外でも、所沢市(埼玉県)では、従来は三菱UFJ銀行と埼玉りそな銀行の輪番制で、派出事務手数料170万円/年であった。三菱UFJ銀行は、派出事務手数料3000万円/年、振込手数料1000万円/年、ATM手数料400万円/年、口座振替手数料30万円/年、窓口収納手数料10万円/年、合計4840万円/年を要求し、所沢市は受け入れず、埼玉りそな銀行の単独となった。埼玉りそな銀行も手数料値上げを要求しているが、実際に値上げをするには至らなかった。 また、三菱UFJ銀行は、収納代理金融機関となっている自治体のうち約半数、収納件数ベースで約1割にあたる約200自治体に対して、2021年4月から紙の納付書による収納の手数料を300円/件とするよう要求し、これに応じない自治体との契約を打ち切ることを通告した。交渉の結果、約200自治体のほぼ全てとなる194自治体が要求を拒み、収納代理金融機関としての納付書の扱いが打ち切り(手数料納付者負担により、他行へ代金取立の手続きを行う方式)となった。ただし、三菱UFJ銀行側は口座振替のみ継続することを容認しており、多くの自治体もそれを受け入れたが、納付書と口座振替をセットで扱うことを条件として口座振替も含めた打ち切りに至ったのは10自治体となった。これらを受けて、三菱UFJ銀行では、2020年12月14日に、「一部自治体さまとの『税公金取扱い』終了に関するお知らせ 」を発表し、2021年3月31日で取扱いを終了する自治体および一部事務組合のリストを発表している。 一方で、政令市の京都市では、5年ごとに指定金融機関を公募して指定金融機関選定委員会が選定するという形をとっているが、2021年4月から2026年3月までの期間に対する公募で、三菱UFJ銀行のみが応募し、公金支払手数料無料、公金収納手数料無料、区役所・支所の会計窓口業務(職員の派出等)無料などの条件を提示して選定されており、地方公共団体によって対応を異にしている。
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