レーザー兵器とは? わかりやすく解説

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レーザー‐へいき【レーザー兵器】

読み方:れーざーへいき

laser weaponレーザー光線破壊エネルギーとした兵器エネルギー指向型兵器DEW)の主役で、戦略防衛構想SDI)での主要破壊手段


レーザー兵器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/29 00:16 UTC 版)

アメリカの艦載型レーザー兵器 AN/SEQ-3 レーザー兵器システム
アメリカとイスラエルが共同開発している対空レーザー兵器 THEL
アメリカのミサイル迎撃試験用軍用機 AL-1

レーザー兵器英語: Laser weapon[1]は、レーザーを利用した指向性エネルギー兵器の一種。アメリカとイスラエルが共同で開発中の対空レーザー兵器戦術高エネルギーレーザーやアメリカのAN/SEQ-3レーザー兵器システム・ミサイル迎撃試験用軍用機AL-1などがありイスラエルではすでに実戦配備されている。レーザー兵器は日本の高出力レーザシステムなど各国でも研究開発が進んでいる。

概要

現在の兵器用レーザーは主に照準と測距、銃のターゲッティングに利用されているが、このレーザー光は目標を破壊するものではない。レーザー兵器は通常、短時間に高出力のパルスを生成する。メガジュール級の出力を持つレーザーの一発は、高性能爆薬200gと同様のエネルギーを移送し、同様の基本的な破壊を目標物にもたらす。主要な損傷の働きは、目標表面で生じる爆発的な蒸発と、この反応に起因する機械的な切断である。[要出典]

戦闘時に標的へ直接ダメージを与えたり破壊したりできるレーザー兵器は現在実用化されつつある。アメリカなどではすでに実証実験されており、数km先を高速で飛行する目標物の破壊に成功している。イスラエルの 対空防御システムの一種であるアイアンビームは、2020年8月17日よりすでに実戦配備されている。

レーザービーム兵器の一般的な考え方は、短時間の光パルスで標的を攻撃することである。この種の高出力レーザービームを投射するために必要なパワーには、化学的に動力を持つガス・ダイナミック・レーザー英語版が採用されている。レーザー兵器は高エネルギーレーザーを利用しているため、一瞬で目標物に到達し精度が高いと標的を数秒で破壊することができる。

現在、数km先の戦闘機やヘリコプター・ドローンなどの軍用機、迫撃砲弾ロケット弾などを打ち落とすのには有効だが、秒速数kmで飛来するミサイルへの迎撃や装甲の厚い戦車の破壊には不向き。都市、戦車艦船航空機などへのアクティブ防護システムとして注目され[2]、車載型、艦載型、航空機搭載型がある。

アメリカ海軍は、小型無人航空機携帯対戦車グレネードランチャーモーターボートヘリコプターの可視エンジンなどの標的に対して使用する超短距離(1.0マイル (1.6 km))、30kWのレーザー兵器システム(LaWS)の実験を行っている[3][4]。このシステムは、「6台のレーザー溶接を束ねたもの」と定義されている。2020年時点で60kWのシステム「HELIOS」が駆逐艦クラス向けに開発されている[5]。実験システムの例には、MIRACL戦術高エネルギーレーザーがあるが、これらは現在は製造中止となっている。

原理

レーザー誘電はまずブルーミング現象を起こし、この後に、良好に形成されたプラズマの、導電イオン化された軌道へと強力な電流を送りこむ。これはいくぶんに類似し、テイザースタンガンの長距離版として機能するが、そのエネルギーは巨大で高出力である。

兵器転用された既存のレーザーの大部分はガスダイナミックレーザーである。燃料または強力なタービンにより、レーザー媒質を流路または一連のオリフィスへと強制通過させる。高圧と熱によってレーザー媒質はプラズマ化し、レーザー光を放出する。このシステムの主な難点は、レーザーを共振させる光共振器の高精度な鏡面と窓を保護し維持することである。大半のシステムではコヒーレントな波を作り出すために低出力のレーザー「発振器」を使用し、これを増幅している。いくつかの試験的なレーザー増幅装置は窓や反射鏡を用いず、開放されたオリフィスを採用しており、これらは高エネルギーにも破壊されない。[要出典]

レーザー兵器のメリット

実弾兵装と比べた、レーザー兵器の主要な利点を以下に列挙する。

  • レーザー光やマイクロ波は、そのエネルギーが光速で伝播する。このため、地球上での使用であれば目標まで発射とほぼ同時に到達する[6]。したがって、遠距離射撃の移動目標を狙う際も、到達移動距離を補正する必要が無く、また目標側が発射されたレーザーを回避する時間も無い。これらの特性は目標物がミサイルのように高速で移動する場合特に有効である。
  • 砲弾の場合、重力・空気抵抗等の影響を受けるため、考慮すべきパラメータが多くなる。一方、レーザー光の場合、大気による屈折以外の影響をほとんど受けないため、パラメータが少なくて済む(重力による影響は、地球上では無いに等しい)。
  • レーザー光は位相のそろった光なので、干渉性が極めて高く、焦点を小さな一点に集中させることができる。また焦点距離を広い範囲に短時間で変更することができる。
  • 光はエネルギーに対する運動量の比率が極めて小さい(正確には
    PHASR(Personal halting and stimulation response rifle)は、アメリカ国防総省空軍研究所の指向性エネルギー総局によって開発されたプロトタイプの非致死性レーザー「ダズラー英語版

    幾種かのレーザーは非致死性兵器として開発途上にあり、ZM-87ダズラー英語版はそのような兵器の一つである。パルス化されたエネルギー投射体英語版、もしくはPEPシステムは赤外線レーザーを発生する。これは急速に膨張するプラズマを目標に作り出す。その結果、人間を失明させるか幻惑させたり、機器のセンサー狂わせたりするよう設計されている。音、衝撃、そして電磁波は相手を気絶させ、痛みと一時的な麻痺を引き起こすため、暴徒鎮圧の使用も企図している。

    多くの種類のレーザーは、目に照射されると一時的または永久的な視力低下を引き起こすため、無力化兵器として使用される可能性がある。レーザー光に目がさらされることによって引き起こされる視力障害の程度、特徴、持続時間は、レーザーの出力、波長、ビームのコリメーション、ビームの正確な方向、および照射時間によって異なる。レーザーの出力は1ワットの数分の一でも、ある条件下では即座に永久的な視力喪失を引き起こす可能性があり、そのようなレーザーは非致死性だが無力化できる武器となり得る。レーザー誘発性失明が表す極度のハンディキャップにより、非致死性兵器としてのレーザーの使用を道徳的に論議するものとなり、永久的な失明を引き起こすように設計された兵器は「レーザー兵器に関する議定書英語版」によって禁止されている。

    ダズラー英語版と呼ばれる一時的な失明を引き起こすように設計された武器は、軍や時には法執行機関でも使用され、パイロットが飛行中にレーザーを浴びる事故が発生したため、航空当局がそのような危険性に対処するための特別な手順を導入するようになった[10]

    関連項目

    脚注

    1. ^ Directed Energy”. 2023年2月28日閲覧。
    2. ^ Laser weapons and directed energy”. meta-defense (2023年2月7日). 2023年2月28日閲覧。
    3. ^ Luis Martinez (2013年4月9日). “Navy's New Laser Weapon Blasts Bad Guys From Air, Sea”. ABC. https://news.yahoo.com/navys-laser-weapon-blasts-bad-215808231.html 2023年2月28日閲覧。 
    4. ^ The U.S. Army Plans to Field the Most Powerful Laser Weapon Yet” (2019年8月7日). 2023年2月28日閲覧。
    5. ^ When it comes to missile-killing lasers, the US Navy is ready to burn its ships” (2019年5月28日). 2023年2月28日閲覧。
    6. ^ コラム120 | 海上自衛隊幹部学校”. www.mod.go.jp. 2020年6月30日閲覧。 (インターネットアーカイブ)
    7. ^ Here come the helicopters with weaponized lasers”. Popular Science (2017年6月27日). 2023年2月28日閲覧。
    8. ^ Ross E., Philip (2023). “Economics Drives a Ray-Gun Resurgence”. IEEE Spectrum 60 (1): 41. 
    9. ^ Atomic Rocket: Space War: Weapons
    10. ^ Symonds, Tom (2009年4月8日). “Police fight back on laser threat”. BBC News. http://news.bbc.co.uk/1/hi/technology/7990013.stm 2023年2月28日閲覧。 

レーザー兵器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 05:14 UTC 版)

ポンス (揚陸艦)」の記事における「レーザー兵器」の解説

2014年レーザー兵器システム(LaWS: Laser Weapon System)の試作品艦載され、2014年8月から1年間に及び運用試験行った。NAVSEA (Naval Sea Systems Command) によって開発され30 kW 級の出力持っており、これは商用5.4 kWレーザーを6基束ね、そこにアメリカ海軍研究所 (Naval Research Laboratory) が開発したビーム・コンバイナーが組み込まれ構造をしている。またコスト削減目的に、取り付け台や望遠鏡赤外線センサーなどは既存部品多く用いられている。 2017年には、CNN前述レーザー兵器の実験取材した

※この「レーザー兵器」の解説は、「ポンス (揚陸艦)」の解説の一部です。
「レーザー兵器」を含む「ポンス (揚陸艦)」の記事については、「ポンス (揚陸艦)」の概要を参照ください。

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