レーザー分子法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 07:43 UTC 版)
ウラン235とウラン238のわずかな吸収スペクトルの違いを利用した同位体分離法であり、沸点の低い六フッ化ウランを用いる点で原子法と異なる。数段階に分けてウラン235を選択励起する方法は原子法と大きな違いはないが、原子法はウラン原子の電離を、分子法はフッ素原子の解離を目的とする。選択励起には、吸収スペクトルの差が1/1000と最も大きい16μm付近の赤外レーザーを用いる。六フッ化ウランの沸点はおよそ330Kであるが、冷却膨張により数十~数百Kの過冷却状態を短時間維持する。過冷却状態の六フッ化ウランに赤外レーザーを照射し選択励起を行い、続いて強力な赤外レーザー、または紫外レーザーを照射し、フッ素の化学結合を切断する。解離された五フッ化ウラン(ウラン235の化合物)は固体である為、サイクロンなどを用いて回収される。日本においては、理化学研究所と動力炉・核燃料開発事業団(現・日本原子力研究開発機構)が実証研究を行っていた。
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