【MIRACL】(みらくる)
Mid-InfraRed Advanced Chemical LASER(中赤外線発達型化学レーザー).
1980年代、アメリカが戦略防衛構想(SDI)において研究・開発していたレーザー砲。
当初はアメリカ海軍が艦艇の近接防衛火器として開発をスタートさせたが、SDIによってミサイル防衛が目標となった。
ニューメキシコ州の砂漠に建造された試作機では、フッ化重水素を励起させてメガワット級の赤外線を70秒間連続照射することが可能であり、地上に置かれたタイタンロケットや、飛行する無人機などを破壊する実験がおこなわれていた。
しかし、いかに高出力のレーザーといえど大気中では減衰が激しく、海上から弾道ミサイルを破壊するほどの出力は到底得られず、研究目的のみの運用が続いている。
現在ではこの研究成果を踏まえ、局地防空用のTHELや、航空機搭載型のAL-1などのレーザー砲が開発中である。
MIRACL
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/28 04:17 UTC 版)
![]() |
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2023年1月)
|
MIRACL(ミラクル、Mid-Infrared Advanced Chemical Laser)は、アメリカ海軍が建造・実験した、対人工衛星レーザー兵器である。日本語に訳すならば「中赤外線先進化学レーザー」という意味で、大気中での長距離射撃が可能な大気の窓に一致する波長域の化学レーザーである。この兵器は初のメガワット級レーザーであり、出力は2メガワットとされる。これは当時の世界最高水準にあり、直接エネルギー兵器(いわゆるビーム兵器)の実験における数少ない成功例である。
MIRACLは、メガワット級のフッ化重水素(DF)化学レーザーを、70秒にわたって照射できた。
海軍は当初、対艦ミサイル撃墜のためにレーザー兵器を研究していたが、後に人工衛星を目標とするようになった。MIRACLは、1989年、ニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル実験場に建造された。しかし予算の問題から、アメリカ議会は1996年までMIRACLの実験を禁止する時限立法を制定した。
時限立法失効後の1997年10月、MIRACLは高度420キロメートルのアメリカ空軍の人工衛星に向かって試射され、無力化に成功した。しかし、同時になされた30ワットという低出力レーザーの実験により、この低出力レーザーでも人工衛星の搭載機器を破壊できることがわかり、対衛星レーザー兵器開発の主流は低出力レーザーへと移った。
しかし本兵器は近年になって再評価され、1996年7月にイスラエルとアメリカ政府の間で戦術高エネルギーレーザーTHEL(Tactical High Energy Laser)の開発計画が開始された。これはMIRACLを小型化して移動可能としたものであり、威力は半分の1メガワットとされている。
関連項目
外部リンク
- MIRACLのページへのリンク