リンク_4とは? わかりやすく解説

リンク 4

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/10 02:10 UTC 版)

リンク 4英語: Link 4)は、要撃機管制するための戦術データ・リンク[1][2][3]アメリカ軍での名称はTADIL-C[1]

来歴

1950年代アメリカ海軍で開発が進められていた海軍戦術情報システム(NTDS)は、デジタルコンピュータを用いた戦術情報処理装置による戦闘指揮所(CIC)の自動化とともに、戦術情報処理装置同士を戦術データ・リンクによって連接してコンピュータネットワークを構築することも重視していた[4]

そしてNTDS用戦術データ・リンクのなかには艦上戦闘機の管制用リンクも盛り込まれており、当初はUSC-2と称されていた[4]。これが北大西洋条約機構(NATO)で標準化されるにあたり、リンク 4Aと称されるようになった[4]。また後に、地対地用のリンク 4B、そして戦闘機同士が通信するためのリンク 4Cが派生し、後者はF-14に搭載された[1]

通信規格

ネットワーク

使用する周波数は超短波(UHF: 300-325 MHz)、変調方式周波数偏移変調(FSK)である[1]転送速度は5,000ビット毎秒である[2][3]暗号化はされておらず、ジャミング耐性も低い[1]

伝送方式は時分割複信で、全体的なネット・コントロール・クロックはなく、メッセージを受信する航空機は、同期パターンを使って自分のクロックを設定して受信する[1]。最大100機までの航空機管制が可能とされているが[2][3]、実用的なネットワークのサイズは、メッセージの許容時間によって制限される[1]

メッセージ

メッセージ・フォーマットはSTANAG 5504で規定されており[2]、管制メッセージ(Vシリーズ)、応答メッセージ(Rシリーズ)、試験メッセージの3形式がある[3]

メッセージひとつあたりの長さは、管制メッセージが14ミリ秒、応答メッセージが18ミリ秒である[2][3]。管制メッセージは70のタイムスロット (1スロットあたり0.2ミリ秒) に分かれていて、その内56タイムスロット(=56ビット)でデータが伝送される[2][3]。一方、応答メッセージは90のタイムスロット (1スロットあたり0.2ミリ秒) に分かれていて、やはりその内56タイムスロットでデータが伝送される[2][3]。残りのタイムスロットは伝送遅延の吸収などに用いられる[2][3]

リンク 4Aでは、自動着艦、航空管制、航空要撃管制、地上攻撃管制、艦載機搭載慣性航法装置などを支援するデータなどが取扱対象となる[3]

脚注

出典

  1. ^ a b c d e f g Friedman 1997, pp. 26–27.
  2. ^ a b c d e f g h 井上 2017, pp. 350–351.
  3. ^ a b c d e f g h i 多田 2002.
  4. ^ a b c Boslaugh 2003, pp. 177–182.

参考文献


リンク4 (TADIL-C)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 14:31 UTC 版)

戦術データ・リンク」の記事における「リンク4 (TADIL-C)」の解説

リンク4 (TADIL-C)は、NATOおよびアメリカ海軍において、航空機要撃管制着艦誘導用いられるデータ・リンクである。リンク 4には、リンク 4Aとリンク 4C2種があり、いずれもUHF帯使用して通信速度は5,000 bpsである。1950年代末より使用されており、古く単純な技術使用していることから、伝送速度遅く電子攻撃に弱いという弱点を持つが、運用比較的容易であり、データリンク黎明期支えた重要な規格である。なお、リンク 4はSTANAG 5504として規格化されていた。 リンク 4Aは、艦船航空機、あるいは航空機間の音声通信代替用に設計されたもので、自動着艦や、航空機要撃管制などに用いられ最大100機までを管制できる。時分割多重化されており、艦船から航空機への管制メッセージV-シリーズ; 14ミリ秒)、航空機から艦船への応答メッセージR-シリーズ; 18ミリ秒)、試験メッセージ3形式のメッセージ使用している。14+18ミリ秒タイミングとなっており、14ミリ秒管制メッセージ70タイム・スロット各々0.2ミリ秒)に分かれていて、そのうち56個でデータ伝送し、残り6.8ミリ秒のうち最大4.8ミリ秒管制応答時の伝送遅延吸収するために用いられる一方、リンク 4Cは、リンク 4A補完して、戦闘機間で使用されるデータ・リンクである。F-14にのみ搭載され、ひとつのリンク 4Cネットワークには、最大で4機までが参加できるが、リンク 4Aとリンク 4C同時に使用することはできない。 リンク 4はかなり古い規格であり、将来的にはリンク 16 (TADIL-J)によって代替される計画であったが、2009年現在にいたるまで運用され続けている。

※この「リンク4 (TADIL-C)」の解説は、「戦術データ・リンク」の解説の一部です。
「リンク4 (TADIL-C)」を含む「戦術データ・リンク」の記事については、「戦術データ・リンク」の概要を参照ください。

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