リビアの関与
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 00:22 UTC 版)
「パンアメリカン航空103便爆破事件」の記事における「リビアの関与」の解説
当初、アメリカ当局は同年7月にアメリカ海軍のイージス巡洋艦「ヴィンセンス」がイラン航空のエアバスA300をイラン空軍の戦闘機と誤認して撃墜したイラン航空655便撃墜事件に対する、イラン政府による報復行為ではないかと疑っていた。また、103便の事件が発生する数ヶ月前、ドイツでは航空機爆破を計画していたパレスチナ人のテロリストグループが逮捕されており、パレスチナ人によるテロが行なわれた可能性も疑われた。さらに、サウジアラビアの新聞社にはイスラム原理主義を名乗る悪戯の犯行声明が届いた。この他にもIRAが犯人として疑われた。 調査が進むうち、残骸から発見されたタイマーの製造元が分かり、その会社が製造したタイマーは全てリビアへ売られたことが判明した。さらに、爆弾を入れたスーツケースに入っていた服を売っていた店がマルタにあることが判明し、その従業員の証言から買ったのが「リビア訛りの強い男」と特定されるに至る。 このことから、リビア人のアブドゥルバーシト・アル・メグラヒ(英語版)とアル=アミーン・ハリーファ・フヒーマの2人が容疑者として浮上した。彼らはリビアの情報機関に所属しており、アメリカによる1986年4月15日のトリポリをはじめとするリビア爆撃に対する報復としてこの事件を起こしたとされる。皮肉なことにリビアの空爆はリビア当局のテロ行為支援に対する報復という名目であったため、「テロに対する報復」がさらなる「テロによる報復」を生じさせていた。 事件で使われた爆弾は、パンアメリカン航空のボーイング727がマルタの空港に着陸した際に積み込んだといわれているが、この点は後の裁判でも争点になっており、詳細はわかっていない。一説ではマルタ航空機がフランクフルト国際空港まで運んだ航空貨物であったという説もある。また、2週間前にフィンランドのヘルシンキにあるアメリカ大使館に犯行を予告する電話があったが、航空当局に通報されたにもかかわらず、「航空会社の経営へ悪影響を及ぼす」ということと、「テロリストを利するだけ」という理由から無視されていた。そのため、一般には何の警告もなされていなかった。 2011年2月23日のスウェーデンの新聞(電子版)の報道によれば、ムスタファー・アブドゥルジャリール前司法書記(法務大臣に相当。後にリビア国民評議会議長)がカッザーフィが命令したと証明できると証言している。ただし証拠を示していないため、事実かどうかを確認できないままにある。
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