ラマルク説とその流れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/24 04:57 UTC 版)
「ネオ・ラマルキズム」の記事における「ラマルク説とその流れ」の解説
ラマルク説と同様の進化観は古くから存在していたが、その主張を明確に整理したのがジャン=バティスト・ラマルクであった。以降、ラマルクのものと解釈されるようになった彼が説明した進化論は「用不用説」と呼ばれている。生物がよく使用する器官は発達し、使わない器官は退化するという用不用の考えと、それによって個々の個体が得た形質(獲得形質)がその子孫に遺伝するという「獲得形質の遺伝」を2本柱としている。また、彼は、生物の進化は、その生物の求める方向へ進むものと考え、生物の主体的な進化を認めた。彼の説明は観念的であり、生物の進化と言う概念を広く認めさせることができなかったが、彼がまとめた「内在する進化傾向」や「個体の主体性」はその後現在に至るまで特に非生物学者から人気があるという。 チャールズ・ダーウィンの自然選択説が1859年に発表されると、生物の進化と言う概念は大論争の後に広く認められた。しかし自然選択説が受け入れられるには長い時間がかかった。彼の説は、「同種内の個体変異が生存と繁殖成功率の差(自然選択)をもたらし、その差が進化の方向を決める」というものである。後に遺伝の法則が発見され、個体変異の選択だけではその範囲を超える進化は起こり得ないことが明らかになった。しかし直後に発見された突然変異を導入することでこの難点は避けられる。こうして、彼の元の説の難点を補正した説は次第に「総合説」、「ネオダーウィニズム」と呼ばれるようになり、現在に至っている。 現代的な自然選択説では「個体変異から特定個体が選ばれる過程はごく機械的であり、個体変異の発生も機械的なもの」と考えている。「突然変異は全くの偶然に左右されるもの」と考えられている。つまり、「その過程に生物の意思や主体性が発揮される必要はない」と考えているのである。 しかし、たとえば一般の人間にチョウの擬態などを見せれば、「どうやってこんなに自分の姿を他人に似せたのだろうか」といった感想がでることがある。この直感的な疑問は古くからあり、現在でも同様の感想をもつ専門家もいる。古生物の進化の系列や、野外における個々の生物の見事な適応を研究するうち、「これらを説明するためには、生物自身がそのような方向性を持っていると考えざるを得ない」とする専門家も現れた。彼らが好んだ説が生物に内在的な進化の方向を認める定向進化説である。 また、たとえば「鳥の飛行能力などは、複数の形質がそろわなければ、そのような能力獲得が難しい」と言われることもある。そのような立場を取る人によれば「ダーウィンの説明では、この問題への解答は困難である」と見なす。中間型の機能も、「生物自身がそのような方向性を何らかの形で持っている」とする。
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