ラマルク説への批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 15:48 UTC 版)
ラマルクの進化論は多くの学者の注目を引きつつも、批判が多かったようである。特に、獲得形質の遺伝の可否については、すぐにさまざまな問題点が指摘された。特に有名なのは、ヴァイスマンがネズミを使って行った実験である。彼はネズミの尾を切り取り、それを育てて子を産ませ、その子ネズミもしっぽを切って育て、それを22世代にわたって繰り返し、ネズミの尾の長さに変化が生じなかったことを示した。 これに対してラマルク擁護派の反論は、「ネズミにとっては尾は必要な器官であるから、使わなかったのとは訳が違う」というものである。事実、ラマルクは自説の中で、怪我は獲得形質に含まれない旨の説明をしている。しかし、生物側でその区別がどうやってつくのかは説明できない。 この実験への批判としてもう一つ可能なのは、実験期間が短すぎる、というものである。せめて100年続ければ、何か結果が出たかも知れない。これは、進化に関する実験の難しさでもある。 ラマルクの用不用説は素朴でなじみやすいが、科学的説明としては問題も多く、その後そのままの形でこれを主張するものはいなかった。しかし、生物側に進化の主体性を求める主張は繰り返しあり、そのような主張をネオ・ラマルキズムと呼ぶ。 チャールズ・ダーウィンの自然選択説が発表されたことで、進化論の正当性が認められ、進化論の中心はその後はずっとダーウィニズムと、その継承であるネオ・ダーウィニズムへと続くことになるが、その理論は完全に機械的で、その説明によれば、生物の進化は偶然にのみ左右されるように見える。そこに疑問を感じてネオ・ラマルキズムに近づくものがいるのも事実である。
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