ユニバーサルとの訴訟
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「キングコング (1976年の映画)」の記事における「ユニバーサルとの訴訟」の解説
マイケル・アイズナーはバリー・ディラーにリメイク企画を持ち込む前にMCA・ユニバーサル・スタジオのCEO兼社長シドニー・シャインバーグ(英語版)にも企画について話していた。その直後、ユニバーサルは『大地震』で採用したセンサラウンド(英語版)を用いてコングの咆哮音を表現できると考え、リメイク権の購入を決定した。1975年4月5日にRKOジェネラルの弁護士ダニエル・オシェイはアーノルド・スタイン(MCA・ユニバーサル弁護士)とラウレンティス、サイドウォーターとリメイク権交渉の約束をしたが、この時点で両社ともリメイク権を巡って競合スタジオが存在することは把握していなかった。オシェイはリメイク権価格を15万ドルに設定していたが、スタインは20万ドルと映画の純利益5%という条件を提示した。これに対し、ラウレンティスは20万ドルと興行収入の3%、さらに製作費の2.5倍を回収した場合は10%を支払うという条件を提示し、5月にリメイク権を取得した。 パラマウントがリメイク権を取得した後、シャインバーグは「正式な書類にサインはしていないが、オシェイは口頭でユニバーサルの申し入れを受け入れていた」と主張した。オシェイはこれに対して「私は書面でも口頭でもいかなる契約も交わしていません……合意したとは言っていないし、そのような発言もしていません……私が権限を持っているとも言っていません……私はRKOの従業員でも代理人でも役員でもありません」と反論している。数日後、ユニバーサルはラウレンティスとRKOジェネラルに対して契約違反、詐欺、取引関係に対する不法行為的干渉により2500万ドルの損害賠償を求める訴訟をロサンゼルス郡高等裁判所(英語版)に起こした。この時点でユニバーサルはハント・ストロンバーグ・ジュニア(英語版)をプロデューサー、ジョセフ・サージェントを監督に起用した独自のリメイク企画のプリプロダクションを進めており、10月には物語の「基本的要素」はパブリックドメインに当たるとして連邦地方裁判所に提訴した。同社の主張によると、このリメイク企画はエドガー・ウォーレスの2部作のシリアライズとオリジナル版の公開直前に出版されたデロス・W・ラヴレス(英語版)の小説を原作にしていた。 1975年11月5日、ユニバーサルはボー・ゴールドマンを脚本家に迎えたリメイク映画『The Legend of King Kong』の製作開始を発表した。これに対し、同月20日にRKOジェネラルは『The Legend of King Kong』の製作が著作権侵害に当たるとして、500万ドルの損害賠償を求めて訴訟を起こした。12月4日にはRKOジェネラルに続き、ラウレンティスも同作が著作権侵害と不正競争に当たるとして、9000万ドルの損害賠償を求めて訴訟を起こしている。この対立は1976年1月に両社が互いの訴訟を取り下げることで合意して終了した。ユニバーサルは『The Legend of King Kong』の製作を中止したが、「ラウレンティス版リメイク映画の18か月後に公開する」という条件で独自のリメイク版製作権を確保した。9月には連邦判事がラヴレスの小説がパブリックドメインになったことを確認し、ユニバーサルにリメイク版の製作を許可した。リメイク権を得たユニバーサルは、29年後の2005年にピーター・ジャクソンを監督に迎えてリメイク版『キング・コング』を製作している。
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