柳沢由実子とは? わかりやすく解説

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柳沢由実子

(ヤンソン柳沢由実子 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/16 23:42 UTC 版)

柳沢 由実子(やなぎさわ ゆみこ、1943年11月8日[1] - )は、日本翻訳家・評論家。主に英語スウェーデン語の日本語訳を手がける。別名義にヤンソン由実子(Jansson Yumiko、ヤンソンゆみこ)、ヤンソン柳沢由実子がある。

来歴

岩手県一関市生まれ[2][3]。貧しい家の出身ながらも音楽家の父と裕福な家の出身の母の間に生まれた2人姉妹[4]のうちの次女[5]として育つ。物心ついた頃からや性別に伴う因習や固定的な価値観への抵抗があった[4]上智大学文学部英文学科卒業[2]。卒業したのち1年半ほど丸の内韓国銀行東京支店で勤務[6]1967年[注釈 1]、24歳の時、当時日本語を学ぶために文部省の交換留学生[7]として来日していたスウェーデン人のペール・スタファン・ヤンソン[5]: Per Staffan Jansson)と国際結婚をして、翌1968年に初めてスウェーデンを訪れる[8]。同年からストックホルム大学で学びスウェーデン語科修了[2]。のちにスカンジナビア航空で勤務[9]。結婚した頃から夫の姓のヤンソンを名乗り出し、やがて著述業においても使用するようになった(ただし、当時の住民登録は日本名の「柳沢由実子」のままであった)[10][注釈 2]。2000年代は、東京都荒川区[2]とスウェーデン・スモーランド地方セーヴシェ市英語版にあるコムスタッド英語版(近年ではストックホルムとも[2])の間を行き来して暮らしている[4]。ストックホルムに住む[2]子ども2人[11]を儲けた。

1996年に「FGM廃絶を支援する女たちの会」(Women's Action Against FGM, Japan 略称WAAF)を設立。同会の活動で、1998年加藤シヅエ賞を受賞。2016年4月、第7回翻訳ミステリー大賞と第4回翻訳ミステリー読者賞をダブル受賞[2]

著書

  • ヤンソン由実子『長い散歩〈スウェーデンと日本〉』教育研究社、1979年10月。NDLJP:12130840/123 
  • ヤンソン由実子『国際結婚――愛が国境を越えるとき』PHP研究所、1981年8月。NDLJP:12127865/137 
  • ヤンソン由実子『男が変わる――スウェーデン男女平等の現実』有斐閣〈有斐閣選書〉、1987年8月。NDLJP:13316541/118 
  • 『女たちのフロンティア』(ヤンソン柳沢由実子名義、フレーベル館、ワーキングマザーシリーズ) 1993.2
  • 『リプロダクティブ・ヘルス / ライツ からだと性、わたしを生きる』(ヤンソン柳沢由実子名義、国土社) 1997.6
  • 『わたしになる! 女性のための名言集』(ヤンソン柳沢由実子 編、フレーベル館) 1999.3 - エッセイ

共著

  • ヤンソン由実子; 中嶋圭子; 渥美京子; 青山榮子『自分にやさしい働き方しませんか――女が仕事とつき合う法』学陽書房、1992年3月。 
  • 『うちポケットの原石たち』(三木卓他との共著、ヤンソン柳沢由実子名義、集英社) 1997.10 - エッセイ
  • 『行動する女たちが拓いた道――メキシコからニューヨークへ』(行動する会記録集編集委員会 編、ヤンソン柳沢由実子名義、未来社) 1999.1
  • 『いま、世界で女性たちは――9人の女性からのワールド・レポート : アメリカイギリスオーストラリアカナダ・スウェーデン・ブラジルフランスマレーシア』(浅野素女、岡村エリーザ恵美、荻島早苗、カムラアツコ、関口祐加、土井ゆみ、本間久江、三輪妙子 共著、パド・ウィメンズ・オフィス) 2008.10 ※柳沢由実子名義での発刊

翻訳

アリス・ウォーカー

  • 『紫のふるえ』(アリス・ウォーカー、集英社 1985.2、のち改題文庫化『カラーパープル』 1986.4)
  • 『いい女をおさえつけることはできない A・ウォーカー短編集』(アリス・ウォーカー、集英社文庫 1986.8)
  • 『わが愛しきものの神殿』上・下(アリス・ウォーカー、集英社 1990.12)
  • 『喜びの秘密』(アリス・ウォーカー、集英社 1995.7)
  • 『父の輝くほほえみの光で』(アリス・ウォーカー、集英社 2001.3)
  • 『勇敢な娘たちに』(アリス・ウォーカー、集英社 2003.3)

ドロシー・ギルマン

  • 『クローゼットの中の修道女』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1993.5)
  • 『人形は見ていた』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1994.1)
  • 『キャラバン砂漠の愛』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1996.7)
  • 『伯爵夫人は超能力』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1999.4)
  • 『アメリア・ジョーンズの冒険』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1999.10)
  • 『古城の迷路』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2000.4)
  • 『テイル館の謎』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2001.4)
  • 『メリッサの旅』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2001.12)
  • 『伯爵夫人は万華鏡』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2002.5)
  • 『バックスキンの少女』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2002.11)
  • 『一人で生きる勇気』(ドロシー・ギルマン、集英社 2003.5、集英社文庫 2007.3)
  • 『キャノン姉妹の一年』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2004.2)
  • 『マーシーの夏』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2005.2)
  • 『カーニバルの少女』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2005.11)
  • 『ひと夏の旅』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2006.8)
  • 『自由の鐘』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2007.2)
  • 『悲しみは早馬に乗って』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2008.4)

「おばちゃまはスパイ」シリーズ

  • 『おばちゃまは飛び入りスパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1988.12)
  • 『おばちゃまはイスタンブール』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1989.2)
  • 『おばちゃまはサファリ・スパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1989.6)
  • 『おばちゃまはアルペン・スパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1989.11)
  • 『おばちゃまは東欧スパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1990.4)
  • 『おばちゃまはシルクロード』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1991.5)
  • 『おばちゃまは香港スパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1991.11)
  • 『おばちゃまはハネムーン』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1992.5)
  • 『おばちゃまはアラブ・スパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1992.11)
  • 『おばちゃまはシチリア・スパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1994.6)
  • 『おばちゃまはサーカス・スパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1995.11)
  • 『おばちゃまはアフリカ・スパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1996.12)
  • 『おばちゃまはヨルダン・スパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 1998.6)
  • 『おばちゃまはシリア・スパイ』(ドロシー・ギルマン、集英社文庫 2000.10)

アンネ・ホルト

  • 『女神の沈黙』(アンネ・ホルト、集英社文庫 1997.7)
  • 『土曜日の殺人者』(アンネ・ホルト、集英社文庫 1997.11)
  • 『悪魔の死』(アンネ・ホルト、集英社文庫 1999.1)

ヘニング・マンケル

  • 殺人者の顔』(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2001.1)
  • リガの犬たち』(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2003.4)
  • 白い雌ライオン』(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2004.9)
  • 笑う男』(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2005.9)
  • 目くらましの道』上・下(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2007.2)
  • タンゴステップ』上・下(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2008.5)
  • 五番目の女』上・下(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2010.8)
  • 『ファイアーウォール』上・下(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2012.9)
  • 『北京から来た男』上・下(ヘニング・マンケル、東京創元社 2014.7、創元推理文庫 2016.8)
  • 『霜の降りる前に』上・下(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2016.1)
  • 『流砂』(ヘニング・マンケル、東京創元社 2016.10)
  • 『ピラミッド』(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2018.4)
  • 『イタリアン・シューズ』(ヘニング・マンケル、東京創元社 2019.4)
  • 『苦悩する男』上・下(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2020.8)
  • 『手 ヴァランダーの世界』(ヘニング・マンケル、創元推理文庫 2021.6)
  • 『スウェーディッシュ・ブーツ』(ヘニング・マンケル、東京創元社 2023.4)

カーリン・アルヴテーゲン

  • 喪失英語版』(カーリン・アルヴテーゲン、小学館文庫 2005.1)
  • 『罪』(カーリン・アルヴテーゲン、小学館文庫 2005.6)
  • 『裏切り』(カーリン・アルヴテーゲン、小学館文庫 2006.9)
  • 『恥辱』(カーリン・アルヴテーゲン、小学館文庫 2007.11)
  • 『影』(カーリン・アルヴテーゲン、小学館文庫 2009.11)
  • 『満開の栗の木』(カーリン・アルヴテーゲン、小学館文庫 2013.1)

アーナルデュル・インドリダソン

  • 『湿地』(アーナルデュル・インドリダソン、東京創元社 2012.6、創元推理文庫 2015.5)
  • 『緑衣の女』(アーナルデュル・インドリダソン、東京創元社 2013.7、創元推理文庫 2016.7)
  • 『声』(アーナルデュル・インドリダソン、東京創元社 2015.7、創元推理文庫 2018.1)
  • 『厳寒の町』(アーナルデュル・インドリダソン、東京創元社 2019.8、創元推理文庫 2022.1)
  • 『湖の男』 (アーナルデュル・インドリダソン、東京創元社 2017.9、創元推理文庫 2020.3)
  • 『印』 (アーナルデュル・インドリダソン、東京創元社 2022.5、創元推理文庫 2023.11)
  • 『悪い男』 (アーナルデュル・インドリダソン、東京創元社 2024.1)

マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー

  • 笑う警官』(マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー、角川文庫 2013.9)
  • ロセアンナ』(マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー、角川文庫 2014.9)
  • 煙に消えた男』(マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー、角川文庫 2016.3)
  • 『バルコニーの男』(マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー、角川文庫 2017.3)
  • 『消えた消防車』(マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー、角川文庫 2018.4)

脚注

注釈

  1. ^ 出典上、『国際結婚』183頁記載の「1967年」の後ろに「昭和43年」(原文ママ)が括弧書きで併記されているが、158頁記載の婚姻届出日が昭和42年12月18日であることから、183頁記載の和暦の方は「昭和42年」が正しい。
  2. ^ その後、1984年成立の国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律(昭和59年法律第45号)により国籍法第107条第2項が新たに設けられて、家庭裁判所の許可を得ることなく「外国人との婚姻による氏の変更届」の提出が認められるようになった(1985年1月1日施行)。

出典

  1. ^ 『文藝年鑑』2016
  2. ^ a b c d e f g 荒川の人(第243回) 翻訳家 柳沢由実子」『ほっとタウン』第331号、公益財団法人荒川区芸術文化振興財団、2016年7月1日、2頁、 オリジナルの2024年7月15日時点におけるアーカイブ、2023年12月13日閲覧 
  3. ^ 長い散歩 1979, p. 239, 著者紹介.
  4. ^ a b c Jea Jonsson (2007年7月20日). “Hon strider för kvinnors rättigheter” (スウェーデン語). Ystads Allehanda. https://www.ystadsallehanda.se/artikel/hon-strider-for-kvinnors-rattigheter/ 2025年7月13日閲覧。 
  5. ^ a b 国際結婚 1981, p. 158.
  6. ^ 長い散歩 1979, p. 91.
  7. ^ 長い散歩 1979, p. 79.
  8. ^ 国際結婚 1981, p. 35.
  9. ^ 国際結婚 1981, p. 267, 著者紹介.
  10. ^ 国際結婚 1981, pp. 183–184.
  11. ^ 国際結婚 1981, p. 159.

参考文献

  • 日外アソシエーツ人物情報

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