メリノ羊とは? わかりやすく解説

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メリノ種

(メリノ羊 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/02 06:20 UTC 版)

メリノ種は、ウールの生産を目的として飼育されるヒツジの品種で筆頭に値するものである。毛質が繊細で(14-24μm)、毛色は白く染色が容易である。メリノ種の原型は、イベリア半島でルチウス・コルメラ(Lucius Junius Moderatus Columella)が、ローマのタレンティーネ種とアジア系・北アフリカ系・半島土着種を交配し開発した[1]スペイン帝国が興ってすぐメリノは王室の所有となったが、富裕な貴族と教会に売却した[2]。17世紀に帝国の完全独占化におかれ、1731年「王室羊(エスコリアル)に関する法令」がそれまでメリノ独占のために出されてきた夥しい勅令を体系化した[2]。スペイン王室の財政が苦しくなるにつれて公式の限定輸出と密輸が行われ[3]ナポレオンの侵攻を受けると軍費・食料のため貴族所有のメリノが接収・転売・屠殺され、ナポレオン軍も戦利品として持ち帰りフランス内外へ転売した[2]。堰を切ったような輸出と開発が羊毛業の革命と世界史の佳境をもたらした。今日では諸事情により、主にオーストラリア南アフリカ共和国で飼われている。


  1. ^ 楠貞義「1章 スペイン経済の生成と発展」『スペインの経済 新しい欧州先進国の課題』、早稲田大学出版部、1998年5月、11-40頁、ISBN 4657985256 
  2. ^ a b c d e 大内輝夫 『羊蹄記』 平凡社 1991年 第2章 メリノの誕生
  3. ^ 王室経由で輸出された記録の一部として、1765年ザクセン、1773年オーストラリア、1776年フランス、1780年デンマーク、1789年オランダ、1790年イギリス
  4. ^ a b c d e 『羊蹄記』 第7章 南アフリカの牧羊
  5. ^ South African sheep breeds: Merino, "Origin of the breed"
  6. ^ ロスチャイルドがスペイン東部に南北へサラゴサアリカンテ鉄道を敷いてから、荘園制ラティフンディオの爪痕が深い内陸まで交通が整備されるのには相当長い年月を要した。英西戦争からスペインは特にアメリカ植民地との貿易が途絶してしまい、やがてハンブルクとアントウェルペンに対アメリカ貿易の覇権を奪われた。
  7. ^ a b c d e 『羊蹄記』 第8章 オーストラリアの牧羊
  8. ^ a b 石田高生『オーストラリアの金融・経済の発展』日本経済評論社、2005年、68-69頁。 NCID BA71675215https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008599723-00 石田高生「オーストラリアの金融・経済の発展」北海道大学 博士論文 (経済学)、 乙第6514号、2007年、NAID 500000386437 
  9. ^ 1883年イギリスはマフディー戦争にてこずり、アフリカ分割の主導権をドイツに奪われてしまった。
  10. ^ ポセイドン・バブルと英国病が続く間に鉱業へ主役の座を奪われた。
  11. ^ A. Girard, Le Commerce français à Séville et Cadix au temps des Habsbourg, 1932, p.45; M. Mollat, Le commerce maritime normand à la fin du Moyen Age, 1950, pp.507-515.
  12. ^ Girard, pp.45-47.
  13. ^ Girard, p.53.
  14. ^ H. Lapeyre, Une famille de marchands: les Ruiz, 1955, p.399.
  15. ^ Girard, p.51.
  16. ^ a b c d e 『羊蹄記』 第3章 ヨーロッパに広がるメリノ
  17. ^ a b c d 松尾展成「ザクセンにおける牧羊業の興隆と衰退」『岡山大学経済学会雑誌』第3巻第2号、岡山大学経済学会、1971年10月、1-46頁、doi:10.18926/OER/42379ISSN 03863069NAID 120002737711 
  18. ^ a b 『羊蹄記』 第5章 ヨーロッパの牧羊 ソビエト
  19. ^ シレジアでの牧羊はプロイセンの国策であった。
  20. ^ a b c d 『羊蹄記』 第6章 アメリカ大陸の牧羊
  21. ^ 英国種は豪雨を耐え、その太番羊毛が戦争で需要されたこともあり、アルゼンチンとウルグアイの両方で採用されていった
  22. ^ 彼の息子にはエドワード・ヘンティがいる。
  23. ^ スペインを半島戦争で支援した見返りであった。
  24. ^ 『羊蹄記』 第4章 英国の牧羊
  25. ^ デュポンとドレセールの二人には、しばしば典拠により敬称のMrが約まってMだけついていることもある。『羊蹄記』はM表記だがファーストネームではない。
  26. ^ この後、長兄のセバスチャン・バレンタインのみが大牧場主となった。
  27. ^ この1812年、ジョン・クラドック総督(John Cradock, 1st Baron Howden)がミシェルを農相に指名した。A history of SA Merino farming, By Denene Erasmus May 22, 2014
  28. ^ フレデリックとミシェル、二人ともリーネン家の女性と結婚していた。"A history of SA Merino farming"
  29. ^ Australian Dictionary of Biography, Paterson, William (1755–1810), in Australian Dictionary of Biography, Volume 2, (MUP), 1967





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