ムーア_(地形)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ムーア_(地形)の意味・解説 

ムーア (地形)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 13:33 UTC 版)

Desert of Walesウェールズの荒野)に広がるムーア
エクスムーア
キリマンジャロのムーア

ムーア: moorland または moor)は、酸性土壌の上に背の低い草木のみが広がる土地のこと。日本語では「湿原[1][2]という。

英名は「沼地」を意味する古いゲルマン語に由来し、元来、イングランドからスコットランドにかけて各地に点在する、荒野然とした山野を指して呼んだものである。

分布

ムーアは主にアフリカ新熱帯区熱帯に広がるが、小さなものが西ヨーロッパオーストラリア北部、北米中央アジアインド亜大陸にも散り散りにある。

世界のムーアのほとんどが非常に多様な生態系を持っている。熱帯のムーアは生息する動植物の多様性が突出して高い。

イギリスおよびヨーロッパのムーア

生態

ムーアは、涼しく湿気のある典型的なヒースの荒野とは違い、しばしばボグが広がり、動物区系とつながった他種のものとの混合からなる。ヨーロッパでは、この動物区系はアカライチョウ、ハイイロチュウヒコチョウゲンボウヨーロッパムナグロダイシャクシギヒバリマキバタヒバリノビタキクビワツグミ、といった鳥類からなっている。

爬虫類は冷涼な気候のためにわずかしかいない。他地域のムーアでは12種類程度の爬虫類が普通いるものであるが、ヨーロッパでは、ヨーロッパクサリヘビだけがよく見られる。カエルのような両生類はムーアを象徴するものである。

ムーアで家畜が牧草を食べ過ぎると、植生がたびたび失われ、飼料としては粗末で食味に劣るイネ科ワラビに取って代わられ、動物区系が大きく減退する。

野生動物と植生はしばしば固有種がある。なぜなら、過酷な土壌とムーアの特徴的な微気象のせいである。例えば、イングランドのエクスムーアでは希少種であるウマ、エクスムーア・ポニー種が見られる。これは、過酷でやせた地味に適しているからである。

しばしばカルーナ属(ヒースとも)の木が生い茂っている。ヒースの生い茂る簡素な状況の丘は、スコティッシュ・ブラックフェイス種のような羊がよく育つ[3]

高緯度のムーアは、スコットランドハイランドアイスランドノルウェーといった低地に見られる。はるか北では樹木生育ができなくなり、ムーアはツンドラに転じる。

利用

ヒースを機械で刈り取ることがヨーロッパでおこなわれてきたが、それはスムーズに次の草が生長するのに避けられない。ヨーロッパでは、定期的にムーアに火を放って野焼きをするよりヒースのタネを発芽させた方が良いことを発見した。もしヒースと他の植物が背が高いままに放っておかれたら、それらが大量に乾ききって燃料となる。これは広範囲を焼く野焼きの結果である。しかし一般的にムーアの野生は、野焼きがしょっちゅうでなくとも、容易に再生することができる。

有名なムーア

イギリス

  • ブリークロウ - イギリス
  • ボドミン・ムーア英語版 - コーンウォール
  • カリー・アンド・ヘイ・ムーアス - サマセット
  • ダートムーア - デヴォン
  • エムリー・ムーア - ウエスト・ヨークシャー
  • エクスムーア
  • イルクリー・ムーア - ウエスト・ヨークシャー
  • マーストン・ムーア ウエスト・ヨークシャー
  • ランノッホ・ムーア - ハイランド
  • カロデン・ムーア - ハイランド(英国王位を求めるチャールズ・ステュアート率いるジャコバイト軍が政府軍と最後の激闘を繰り広げたカロデン・ムーアの戦いで名高い。)
  • ロンボールズ・ムーア - ウエスト・ヨークシャー
  • サドルワース・ムーア - ペンナイン・ヒルズ
  • シュロップシャー・ヒルズ
  • スタッフォードシャー・ムーアランズ
  • イタン入り江 - アバディーンシャー

その他の国

  • タンナー・ムーア - オーストリア

その他の地域のムーア

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 文部省編 『学術用語集 地理学編』日本学術振興会、1981年。ISBN 4-8181-8155-2 
  2. ^ 文部省日本植物学会編 『学術用語集 : 植物学編』(増訂版)丸善、1990年。ISBN 4-621-03376-X 
  3. ^ Camilla Bonn: 'That Jack Cunningham wants half of us out of farming', in Country Life, 15 January 1998, pp 28-35

参考文献

関連項目

外部リンク


「ムーア (地形)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ムーア_(地形)」の関連用語

ムーア_(地形)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ムーア_(地形)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのムーア (地形) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS