ミッドシップエンジン・リアドライブ方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 09:45 UTC 版)
「後輪駆動」の記事における「ミッドシップエンジン・リアドライブ方式」の解説
詳細は「ミッドシップ」を参照 ミッドシップエンジン・リアドライブ方式(略してMR)とは前輪車軸と後輪車軸の間、すなわち車体中央近くにエンジンを配置し、後輪を駆動させる方式である。エンジン位置が車室の前方か後方かによって、それぞれフロントミッドシップあるいはリアミッドシップとも呼ばれる。車体中央近くにエンジンを配置する方式は他にFFミッドシップがあるが、これはミッドシップというより前輪駆動の一種に分類される。 座席下にエンジンを収納するオートバイは基本的にこの駆動形式である。 自動車がまだ発明されたてで、馬車の延長上にあった19世紀末期の自動車は、居住空間の真下にエンジンを置くタイプのMRが主流であった。 自動車パーツで最も重いエンジンを車軸間に配置することで重量バランスが極めて安定し、慣性モーメントが小さくなって回頭性が上がるが、一旦バランスを失うと態勢を立て直す余裕の無いままスピンアウトし易いという欠点と表裏一体である。またフロント(=操舵輪)の荷重が不足気味になりがちなため、クイックなコーナーリングには一定の熟練が求められる。 RRにも言えることだが、エンジンが車体後方に位置するため走行風を受けにくく、スポーツ車等ではオーバーヒートし易いという欠点がある。 ボンネット型乗用車では車室がエンジンに圧迫されるという短所と、運動性能という長所の組み合わせから、市販車における採用は2シーターのスポーツカーがほとんどである。 軽自動車の場合は、エンジンが小型であるがゆえに後部座席シート下やハッチバック車のラゲッジスペース下にエンジンを納めることが可能な例もあり、ホンダの軽商用車や三菱・iがMRを採用している。またワンボックスカーでは、初代トヨタ・エスティマがアンダーフロア形式のMRレイアウトを採用していた。 ルノー・5ターボとルノー・クリオV6(日本名・ルーテシアV6)はFFのハッチバックをベースに、後部座席へとエンジンを移動することでMR化を実現している。似たような例として、[横置きFFパワートレインをそのまま後輪に移設して反転させたフィアット・X1/9がある。また同様に、横置きFF用プラットフォームを反転させて開発された車種も複数存在する。 その特性を最大限に活かせるレーシングカーでは最もオーソドックスな形式であり、現代のフォーミュラカーやプロトタイプレーシングカーはごく僅かな例外を除き全てMRである。また市販車をベースとするカテゴリでも、規則で認められている場合は他の駆動形式からMRに換装することが多い。ただし限界付近でのコントロールの難しさから、ドリフト競技では敬遠される。また市販車の外装に架装するツーリングカーやストックカーではMR車の希少性とベース車両のマーケティングの都合により、FRが指定されるのが一般的である。
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