マザーウェーブレット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/22 08:37 UTC 版)
「ウェーブレット」の記事における「マザーウェーブレット」の解説
実応用での効率性を考えると、マザー(プロトタイプ)ウェーブレット(関数)はコンパクトサポートの連続微分可能関数であることが望ましい。しかし、(連続ウェーブレット変換における)解析的であることの要求と、理論的な理由から、一般的にウェーブレット関数は 空間 L 1 ( R ) ∩ L 2 ( R ) {\displaystyle L^{1}(\mathbb {R} )\cap L^{2}(\mathbb {R} )} の部分空間から選ばれる。これは絶対値積分可能かつ2乗積分可能な可測関数の空間である。 ∫ − ∞ ∞ | ψ ( t ) | d t < ∞ {\displaystyle \int _{-\infty }^{\infty }|\psi (t)|\,dt<\infty } and ∫ − ∞ ∞ | ψ ( t ) | 2 d t < ∞ {\displaystyle \int _{-\infty }^{\infty }|\psi (t)|^{2}\,dt<\infty } . この関数空間では必ずゼロ平均と二乗ノルムの条件が定式化できる。 ∫ − ∞ ∞ ψ ( t ) d t = 0 {\displaystyle \int _{-\infty }^{\infty }\psi (t)\,dt=0} (ゼロ平均の条件) ∫ − ∞ ∞ | ψ ( t ) | 2 d t = 1 {\displaystyle \int _{-\infty }^{\infty }|\psi (t)|^{2}\,dt=1} (二乗ノルム正規の条件) ψ {\displaystyle \psi } が 連続ウェーブレット変換(英語版)(正確な議論はリンク先参照)のウェーブレットであるためには、マザーウェーブレットは安定な逆変換を持つための許容性の規範(簡単に言うとこれは半微分可能性のようなもの)を満たさなければならない。 離散ウェーブレット変換における最低限満たさなければならない条件として、ウェーブレット系列はLp空間 L 2 ( R ) {\displaystyle L^{2}(\mathbb {R} )} 中の単位元でなければならない。離散ウェーブレット変換のほとんどの構成は多重解像度解析を用いており、この場合ウェーブレットはスケール関数により決定される。このスケール関数自体が汎関数方程式である。 多くの場合において ψ {\displaystyle \psi } をvanishing moments を表すより大きい数字 M の連続関数、つまり全ての整数 m<M について以下の式を満たす関数に限定することは有用である。 ∫ − ∞ ∞ t m ψ ( t ) d t = 0 {\displaystyle \int _{-\infty }^{\infty }t^{m}\,\psi (t)\,dt=0} マザーウェーブレットは、 a {\displaystyle a} の因数による拡大縮小(スケール)と、 b {\displaystyle b} の因数による平行移動(シフト)により、(Morlet によるオリジナルの定式化のように)以下のように与えられる。 ψ a , b ( t ) = 1 a ψ ( t − b a ) {\displaystyle \psi _{a,b}(t)={1 \over {\sqrt {a}}}\psi \left({{t-b} \over a}\right)} . 連続ウェーブレット変換では、(a,b) のペアは全半平面 R + × = R {\displaystyle \mathbb {R} _{+}\times =R} 上で変化する。また離散ウェーブレット変換では、このペアは、affine群とも呼ばれる離散部分集合上で変化する。 これらの関数はたびたび(連続)変換の基底関数という誤った捉え方をされる。事実、連続フーリエ変換にあるような基底は、連続ウェーブレット変換にはみあたらない。時間周波数解釈では少し違う定式化が使用される(Delpratによる)。
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