ポケットインスタマチック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 23:48 UTC 版)
「インスタマチック」の記事における「ポケットインスタマチック」の解説
1971年、インスタマチックと入れ替わるように発表されたもので、使用されるフィルムは110フィルムで、カメラとしては110カメラ、ワンテン、ポケットカメラなどと呼ばれる。インスタマチックからさらに小型化を狙いフレームサイズは13×17mmで、実際大多数のカメラがポケットに収まるサイズを実現できた。1970年代に入るとライカ判カメラが普及しており、またミニラボなどによるプリンタの自動化も進み、市販されている長方形の印画紙との整合性から長方形画面を採用したと思われる。インスタマチックの時と同様コダックの呼びかけに多数のメーカーが参入し、主に気軽な携帯用、スナップ用として1970年代から1980年代にかけて普及した。カメラの構造(特にフィルム送給機構とそれに連動するシャッター)を簡素化できたことも大きな魅力となり、流通の大きな要因ともなっている。 カメラには、コダックと同様の横長の製品が多いが、在来のカメラをそのまま縮小したような形状で交換レンズやワインダーが用意されたシステム一眼レフカメラである旭光学auto110や、ズームレンズ内蔵一眼レフであるミノルタ110ZOOM SLRシリーズ、「ラジカメ」と銘打ってAMラジオを内蔵した松下電器産業/ウエスト電気のC-R1のように、様々なバリエーションの製品も登場した。 一時広く普及したが、フィルムの小型化とこの時期に流行した高感度化が画質の低下を招き、一方では135フィルムカメラの内部機構が改良されフィルム装填や巻き上げが容易になり、さらに機能面で差の小さいレンズ付きフィルムが登場するなどの要因もあってその人気は1990年代以降急速に下火となった。一部の愛好家によってその後も辛うじて支えられてきたがデジタルカメラの普及で写真フィルム全体の流通量が減少した影響もあって、自社ブランドの他に各種OEM供給を行ってきたイタリアのフェッラーニアが2008年に製造を終了し、コダックも2008年9月4日に原材料の価格上昇ならびに需要の低下を理由に製造終了を発表。富士フイルムは製造体制の維持が困難になったことを理由に110フィルムの製造販売を2009年9月に終了したことで、一般向けのフィルム製造はいったん全て終了。110フィルム対応のトイカメラも、フィルムの出荷終了に伴い、次第に市場から姿を消していった。その後、ロモグラフィーからモノクロフィルムが発売されたが、新製品のカメラは以前のストック以外まず入手できない状態にある。
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