フォトリソグラフィとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > フォトリソグラフィの意味・解説 

フォトリソグラフィ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/16 07:47 UTC 版)

半導体素子製造におけるフォトリソグラフィ。レジストの感光を防ぐ為に波長の長い黄色い照明を使用し、クリーンルーム内で行われる。

フォトリソグラフィ英語: photolithography)は、感光性の物質を塗布した物質の表面を、パターン状に露光(パターン露光、像様露光などともいう)することで、露光された部分と露光されていない部分からなるパターンを生成する技術。主に、集積回路プリント基板印刷版、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルなどの製造に用いられる。

半導体素子の製造

集積回路の製造においてフォトリソグラフィは次のように行われる。シリコンヒ化ガリウム等の半導体ウェハー上にフォトレジストと呼ばれる感光性有機物質を塗布し、ステッパーと呼ばれる露光装置を用いて、レチクルと呼ばれるフォトマスクに描かれた素子・回路のパターンを焼き付ける。以下、工程をさらに詳しく説明する。

コート

ウェハーにレジストを塗布するためのスピンコーター

シリコンウェハー上に、レジストと呼ばれる液体を、スピンコーターや吹きつけによって塗布する。レジストはによって反応する化学物質溶媒に溶かしたもので、感光した部分が溶解する「ポジ型」と、感光した部分が残る「ネガ型」がある。パターンの微細化にはポジ型が有利とされ、現在ではポジ型が主流である。また、KrFなどのエキシマレーザーを用いた露光の場合、露光強度が弱いため、化学増幅型フォトレジストが使用される。

プリベーク

レジストを塗布したウェハーを加熱し、レジストを固化する。

露光

レジストに光を照射して反応させる。このとき、回路図の形状を描いたマスクを用い、光を照射する部分を制御することで必要な形状をレジスト上に描く。露光装置はかつてはマスクとウェハーを密着させ露光する等倍露光であったが、要求されるパターンが微細になるとともにマスクの作成が困難になってきたため、近年では実寸よりも大きく作成したマスクパターンをステッパーと呼ばれる装置を用いてウェハー上を移動させながら縮小投影露光する手法に変わってきた。パターンが微細化するほど短波長の光源が必要であり、現在は高圧水銀灯のg線(波長 436nm)、i線(波長 365nm)、KrFエキシマレーザー(波長 248nm)、ArFエキシマレーザー(波長 193nm)などが主流で、次世代の光源としてEUV光(波長 13.5nm:EUVリソグラフィ)が開発段階にある。またX線を光源に用いたり、電子線で直接レジスト上に描画する方法(電子線リソグラフィ)も存在する。

現像・リンス

露光したウェハーを現像液に浸し、余分な部分のレジストを除去する。この過程ではじめて回路図のパターンがウェハー上に現れる。現像液はレジストを溶解する薬液が使用される。用いられる薬液には、レジストを溶解する有機溶剤の場合と、有機または無機アルカリの場合がある。現在の半導体用フォトリソグラフィでは、有機アルカリである水酸化テトラメチルアンモニウム (TMAH: tetra-methyl-ammonium-hydroxyde)の2.38 wt%水溶液が主流となっている。これは、水酸化カリウム(KOH)などの無機アルカリでは金属イオンの工程への混入を避けられないためである。リンス液(主に超純水)で数回すすぎ、不要部分を完全に除去する。

ポストベーク

付着したリンス液を加熱によって除去する。加熱により、ウェハーとの密着性が良くなる。

パターン成形

レジストで描かれたパターンを利用して、目的とする回路などを作成する。ウェハーに用いたものによって工程が異なり、不要な部分を除去したい場合はエッチングを、必要な回路を追加したい場合は成膜・リフトオフの工程となる。

エッチング

ウェハーに単に凹凸を付けたい場合、あるいは元々ウェハー上にパターンが作成されていた場合などは、エッチングによって不要な部分を除去する。ドライエッチングウェットエッチングが存在する。レジストの残っている部分はエッチングによって除去されないため、残したいパターンがウェハー上に形成される。最後に溶剤などによってレジストを完全に除去する。

成膜・リフトオフ

ウェハー上に別の金属酸化物などを付けたい場合は、真空蒸着スパッタリングCVDなどの手法によって成膜する。最後に溶剤などでレジストを除去する際に、レジスト上に成膜された材料も同時に除去される(リフトオフという)ため、ウェハー上に好みのパターンを追加することができる。

露光系における分解能

縮小露光系において分解能は、使用する光源の波長に依存する。縮小レンズの性能によってマスクの回折限界まで露光できるかが決まる。波長248~193nmの深紫外線を使用した場合は50nmの線幅まで露光できる。

露光系の最小線幅は以下の式で求まる:

その他 関連

フォトリソグラフィ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/04/23 08:27 UTC 版)

反射防止膜」の記事における「フォトリソグラフィ」の解説

反射防止コーティングは、基板表面からの反射関連するイメージ歪み軽減するために、マイクロエレクトロニクスフォトリソグラフィであることが多い。 さまざまなタイプ反射防止コーティングは、フォトレジストを前または後ろいずれかに塗布し定常波薄膜干渉および鏡面反射軽減するのに役立っている。

※この「フォトリソグラフィ」の解説は、「反射防止膜」の解説の一部です。
「フォトリソグラフィ」を含む「反射防止膜」の記事については、「反射防止膜」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「フォトリソグラフィ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「フォトリソグラフィ」の関連用語

フォトリソグラフィのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



フォトリソグラフィのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのフォトリソグラフィ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの反射防止膜 (改訂履歴)、微細加工技術 (改訂履歴)、紫外線 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS