ヒブダイ
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ヒブダイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/14 07:48 UTC 版)
ヒブダイ | |||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Scarus ghobban Forsskål, 1775[2] |
ヒブダイ(学名:Scarus ghobban)は、ブダイ科に分類される海水魚の一種。インド太平洋に分布する。IP(始相)の黄色い体色が特徴である。岩礁やサンゴ礁に生息し、藻類や底生生物を捕食する。ブダイ科の中でも美味な種とされ、沖縄では高級魚として取引されている。
分類と名称
1775年にスウェーデンの博物学者であるペテル・フォルスコールによって記載され、タイプ産地はおそらく紅海のジッダであった。現在はベラ目のベラ科に分類する見解がある[3]。種小名は紅海沿岸での本種の呼び名に由来する[4]。blue-barred parrotfish、blue trim parrotfish、cream parrotfish、globe-headed parrotfish、green blotched parrotfish、yellow scale parrotfish、bluechin parrotfishなどの英名がある[1]。
シノニム
FishBaseによると、以下のシノニムが知られている[5]。
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分布と生息地
東アフリカからインドネシア、ガラパゴス諸島[6]や日本を経て、南はオーストラリア、東はフランス領ポリネシアまで、インド太平洋全域に広く分布する[2]。日本では伊豆・小笠原諸島、神奈川県以南の太平洋岸、南西諸島で見られる[7]。2001年にはスエズ運河を経由して、イスラエル沖の地中海で初めて記録され、現在はレバントで北に分布を広げているが、依然として希少である[8][9]。幼魚は遠洋性であり、地域的な海流によって遺伝子流動が促進され、高い遺伝的多様性を生み出している[10]。砂底や海草藻場、サンゴ礁の縁辺部や深場に生息する[1]。
形態
体色は青緑色から緑色で、体長は通常約46cmに成長する。外観は個体差が大きく、背鰭と臀鰭の中央にピンク色の縞模様が見られることがある。腹面はピンク色または黄色がかった色をしている。胸鰭周辺には青い模様が見られることもある[6]。IP(始相)は黄色の体に、5本の青色横帯が不規則に入る[7]。全長は75cmを超える。背鰭は9棘と10軟条から、臀鰭は3棘と9軟条から成る。胸鰭条数は13-15本。唇は主に歯板を覆う。尾鰭は小型の雌では丸みを帯び、大型の雄では上下が長く伸びる[5]。
生態
成長が早く、寿命は最大13年である。小さな群れで行動する傾向がある[1]。藻類や底生生物を捕食する[7]。下顎骨を高速で回転させることができるため、微細な堆積物の輸送を促進する[11]。雌は水中に卵を放出し、卵は受精後約25時間で孵化する。仔魚は急速に成長するため、親魚の近くに長時間留まる必要が無い[12]。雌性先熟の雌雄同体で、生後7年ほどで性転換する[5]。
人との関わり
食用として大量に漁獲されており、他の漁業による混獲も多々あるが、現時点では絶滅の危機に瀕していない。他のブダイ類と同様に、ある程度サンゴ礁に依存しており、サンゴ礁の継続的な劣化の影響を受ける可能性が高い[1]。ブダイ科の中でも美味な高級魚とされている。沖縄では「アーガイ」と呼ばれ、刺身や汁物で食べられる[7]。
脚注
- ^ a b c d e Choat, J.H.; Myers, R.; Russell, B.; Clements, K.D.; Rocha, L.A.; Lazuardi, M.E.; Muljadi, A.; Pardede, S. et al. (2012). “Scarus ghobban”. IUCN Red List of Threatened Species 2012: e.T190705A17798394. doi:10.2305/IUCN.UK.2012.RLTS.T190705A17798394.en 2025年4月12日閲覧。.
- ^ a b McGrouther, Mark (2021年1月25日). “Bluebarred Parrotfish, Scarus ghobban Forsskål, 1775”. Australian Museum. 2025年4月13日閲覧。
- ^ “CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Scarus”. researcharchive.calacademy.org. 2025年4月13日閲覧。
- ^ “Order LABRIFORMES (part 2): Family LABRIDAE (i-x)”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf (2025年1月27日). 2025年4月13日閲覧。
- ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2019). "Scarus ghobban" in FishBase. December 2019 version.
- ^ a b “Scarus ghobban”. 2025年4月13日閲覧。
- ^ a b c d 馬渕浩司 (2018)「ヒブダイ」中坊徹次(編/監修)『小学館の図鑑Z 日本魚類館』p.341、小学館、ISBN 978-4-09-208311-0。
- ^ Atlas of Exotic Fishes in the Mediterranean Sea. 2nd Edition.. CIESM Publishers. (2021-6). pp. 200-201
- ^ Bariche, Michel; Saad, Mohammed (2009). “Settlement of the lessepsian blue-barred parrotfish Scarus ghobban (Teleostei: Scaridae) in the eastern Mediterranean”. Marine Biodiversity Records 1: e5. doi:10.1017/S1755267205000497.
- ^ Visram, Shakrim (2010). “Genetic connectivity and historical demography of the blue barred parrotfish (Scarus ghobban) in the western Indian Ocean”. Marine Biology 157 (7): 1475. doi:10.1007/s00227-010-1422-8.
- ^ Melgarejo-Damián, M. P.; González-Acosta, A. F.; Cruz-Escalona, V. H.; Moncayo-Estrada, R. (2017). “A comparison of feeding biomechanics between two parrotfish species from the Gulf of California” (英語). Zoomorphology 137 (1): 165–176. doi:10.1007/s00435-017-0383-6. ISSN 0720-213X .
- ^ Jonna, R (2021年). “Scaridae”. Animal Diversity Web. 2025年4月13日閲覧。
関連項目
ヒブダイと同じ種類の言葉
固有名詞の分類
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