パキスタン人権委員会 - 名誉殺人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 09:17 UTC 版)
「アスマ・ジャハンギール」の記事における「パキスタン人権委員会 - 名誉殺人」の解説
1980年からラホール高等裁判所判事、1982年からパキスタン最高裁判所判事、1986年からはパキスタン最高裁弁護士会の執行委員会会員(後に女性初の会長)を務める一方、1980年代からヒナ・ジラニらとともに人権活動家として活躍し、パキスタン(特にムハンマド・ジア=ウル=ハク軍事政権下)の人権侵害について調査し、抑圧されている女性や宗教的・民族的少数派を保護するためにパキスタン人権委員会を設立した。近年、人権委員会が行った調査により、ようやくパキスタンにおける名誉殺人の実態が明らかにされつつある。たとえば、毎年1,000人(2015年には1,100人)近い女性が婚外性交渉や親の認めない付き合いを疑われ、家の名誉を汚したとして親族に殺害されているが、それでもなお、「このような残忍な事件は日常的に広がった暴力の一環」であり、実際には「どれくらい広まっているのかを推定するのは難しい」という。結婚を拒否したり離婚を申し立てたりした場合も同様であり、ジャハンギール弁護士とジラニ弁護士が担当した離婚申し立てでは、当事者が、母親が面会に連れて来た運転手に殺害され、ジラニ弁護士も重傷を負った。二人はペシャワール商工会議所の会頭職にあった父親に「二人の弁護士こそ娘を殺した張本人だ」として提訴された。また別の事件では、ジャハンギール弁護士がある離婚訴訟で高等裁判事に「あなたのいるべき場所はここではなく、刑務所だ」と罵声を投げつけられた。彼女は他にも離婚訴訟中に裁判所を出たところで襲われた女性や、一部の者から伝統やイスラムに反すると見られた評決を出したために命を落とした判事のことなどに触れ、「パキスタンは、まだ人権を尊重することの必要性さえも理解していない国だ」と語った。 ジャハンギールは歯に衣着せぬ物言いで知られている。たとえば、ドナルド・トランプは共和党大統領候補であった頃からすでに米国へのイスラム教徒の入国を一切禁止するよう政府に求めていたが、ジャハンギールはこれについて、「これは最も無知で偏狭な考えだ。米大統領を目指す人が、パキスタンにいる無知な宗教指導者と競うなどとは思いもしなかった。われわれは米国ほど進歩していないが、決してそのような人々を選んだりしない」と批判した。
※この「パキスタン人権委員会 - 名誉殺人」の解説は、「アスマ・ジャハンギール」の解説の一部です。
「パキスタン人権委員会 - 名誉殺人」を含む「アスマ・ジャハンギール」の記事については、「アスマ・ジャハンギール」の概要を参照ください。
- パキスタン人権委員会 - 名誉殺人のページへのリンク