バブルの予防
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 05:35 UTC 版)
自由な市場取引ではストックの適正価格はつきつめるところ市場参加者の誰にもわからないため、過剰な期待や失望が群集雪崩を起こし、バブルや恐慌を発生させる。厚生経済においては拡張期には主に物価の高騰、収縮期(恐慌期)には消費や投資の停滞、失業の拡大が問題となる。物価や賃金の統制、経済計画の採用は恐慌の発生を未然に防ぐ有望な手立てであったが、多くの社会主義国に見られるように、長期的な観点では必ずしも経済厚生を高めるものではなかった。 バブルを引き起こさないためには、株式や土地などの価格変動による売買収益をもくろむ投資行動、とくにオルタナティブ投資を制限する、市場の自由な取引形態を制限し行政府や公的機関が取引ルールに関与する、公的年金資金や中央銀行によるアナウンスメントや介入、政策金利や税制による関与などが行われる。近年では機関投資家の自己売買と成功報酬型の報奨制度が過剰なリスクマネーをもたらしていると批判されている。時価会計主義による財務指針を取得原価主義に戻すべきだとの主張もあるが、これにはかえって市場の透明性を削ぐものだとの批判がある[誰?]。オルタナティブ投資では過剰なレバレッジがストップロスオーダーによる異常な価格変動をもたらしていると批判されている[誰?]。 行政府や議会による公的関与についても政府の失敗の問題があり、バブルの生起(市場の失敗)を代替するものではない。政策金利や公定歩合はマクロ経済を誘導する強力な政策手段であるが、経済の自然成長率(自然利子率)もまた、市場参加者の誰にも分からないものであり、議会の干渉や当局の誤判断により誘導金利と自然利子率とが長期的に乖離することでバブルや恐慌の原因になることがある。インフレターゲットの議論は人為的な政策金利への干渉をなくせとの主張であるがその有効性が歴史的に立証された段階にはない[要出典]。 キャリートレードの存在も重要である。先進国は人口の停滞もあり低成長から市中金利が低迷している一方で、新興国ではキャッチアップによる高成長が長く続いており、先進国の低利な短期資金を組み替え長期資金とし(長短スワップ)新興国へ投資するキャリートレードが活発に行われているが、恐慌の発生などで先進国での市中金利が急騰することで新興国への投資資金が引き上げられ(アンワインディング)通貨が急落するなど混乱の原因となっている。アジア通貨基金や国際通貨基金などによる国際支援スキームが形成されているが混乱を予防するものではない。
※この「バブルの予防」の解説は、「バブル経済」の解説の一部です。
「バブルの予防」を含む「バブル経済」の記事については、「バブル経済」の概要を参照ください。
- バブルの予防のページへのリンク