ノンキャリアの処遇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 07:09 UTC 版)
「キャリア (国家公務員)」の記事における「ノンキャリアの処遇」の解説
ノンキャリアとは、公務員試験で国家公務員採用総合職試験(旧I種試験〈旧外務公務員採用I種試験を含む〉)以外の試験に合格し、採用された公務員を指す俗称である(ただし、厚生労働省の医系技官・法務省の検事は除き、防衛大学校を卒業した自衛官も除くことがある)。広義は地方公務員も含むが、キャリアの概念が一様でないため、ノンキャリアの概念も一律に定義することは難しい。 キャリア制度の元では、キャリアでない者=ノンキャリアは事務次官など高位の職への昇格・昇進が望めず、現状ではどんなに出世した者でも本省の課長級(本省以外で小規模管区の局長等)までの昇進で終わることが多く、同じ「課長職」であっても、キャリアが着任するポストとは分けられていることが多い。そのため、ノンキャリア職員のモチベーション維持や、身分制的な待遇差から生じるキャリア職員との感情的な軋轢などが問題となっている。近年ではノンキャリア職員の高学歴化が進み、キャリア職員との待遇の格差が以前ほどの正当性を得られなくなってきたとの指摘もある。 昨今のキャリア制度批判を受け、最近はわずかではあるがノンキャリアにも指定職など幹部への扉が開きつつある(例: 1981年、大蔵省印刷局長に初めてノンキャリア職員が抜擢された(石井直一)。2011年、外務省領事局長に初めてノンキャリア出身のキャリア職員が着任した(沼田幹男)。ただし、外務省のキャリアは外務公務員I種試験であったため、他省庁と若干相違がある事を留意しなければならない。2013年に、法務省矯正局長に検事以外では初、さらにノンキャリアの刑務官出身職員が着任した(西田博)。2014年には高校卒業後札幌国税局に採用されたノンキャリア国税職員が、出向先の静岡県で副知事に就任し、次いで財務省主計局主計官や、北海道財務局長等を歴任した(高秀樹)。人事院は、ノンキャリア職員の幹部登用を進めるため、1999年に「II種・III種等採用職員の幹部職員への登用の推進に関する指針」を作成し各省庁に対し計画的育成者の選抜、育成を促すとともに人事院公務員研修所でII種・III種等採用職員の登用研修を始めている。2019年には文部科学省初等中等教育局の局長に高校卒業後に国家公務員採用初級試験(当時)で入省したノンキャリア職員が起用された(丸山洋司)。 平成24年度より、国家公務員採用I種試験、II種試験及びIII種試験は、国家公務員採用総合職試験(院卒者試験、大卒程度試験)及び一般職試験(大卒程度試験、高卒者試験)などに再編された。
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