ドラマツルギーのパースペクティブ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/29 10:05 UTC 版)
「ドラマツルギー (社会学)」の記事における「ドラマツルギーのパースペクティブ」の解説
ドラマツルギーのパースペクティブ(演劇的観察法)とは、人間の行動の原因ではなく行動の文脈を調査するもので、他の社会学の理論から分かれたいくつかの社会学の方法論の中の1つである。 ゴッフマンはその多くの論稿の中で、人間が本当にあるはずのものを発見できないだけでなく、その本性において気まぐれであることをも強調している。準拠枠分析において、「重要なことは、人が担う役割の背後で彼がどの様な種類の人間であるかについて、それらの役割を演じることを通して具備されるその意識である」と彼は記述している (p.298)。 個人のアイデンティティが演者とオーディエンスの間で役割と合意を通じて演じられる場で、ドラマツルギーのパースペクティブは社会学的観察法に対する錨(=最後に頼れるもの)と見なすことができる。 社会的状況を定義付けている一般了解への、この依存が理由で、再定義がなされない相互作用はいかなるものでも具体的な意味が全く存在しないと、このパースペクティブでは主張される。 ドラマツルギーは、相互作用の主要な構成要素として表現性に重きを置く。それは「人間の相互作用における完全に両面的な観察」と呼ばれる。 ドラマツルギーの理論は、人間のアイデンティティが安定的かつ独立的な心理学的実体ではないことを提起するものである。すなわち人が他者と対話する時には、アイデンティティが常に再構成される。 ドラマツルギーのモデルの中で、それが劇場公演の一部であるかのように、社会的相互作用は分析される。人々は、パフォーマンスを通して彼らの個人的な特徴と彼らの意図を他人に伝えなければならない俳優である。ステージ上のように、特定の印象を他者に与えるために、人々は日常生活において舞台装置、服装、言葉、および非言語行動を支配する。オーディエンスが誰もいない時に、人々は「舞台裏」行動に従事する。例えば、レストランの給仕人は、顧客の前で一定の仕方で振る舞っているようであるが、キッチンではもっとずっとカジュアルなのかもしれない。顧客の前で見苦しくみえるようなことを彼らがキッチンでするということもありうることである。 他者との相互作用の前に、人は個人が成りたいと思う典型的な役割または印象のほかにも、もう一つ別にそれを準備する。劇場ではこれらの役割は「役柄破り」 ("Breaking Character") と呼ばれるものに属し、それを見ることを想定していない何者かによってパフォーマンスが遮られてしまう舞台裏では、都合の悪い邪魔が起こるかもしれない。 さらに、パフォーマンスのとるべき筋道を決めるにあたって、オーディエンスの方もいくつかの個人的パフォーマンスのために一定の役回りをどのように演じるのかという様々な手本がある(つまり、たとえ誰かが話す時につまずいたり暴言を吐くようなことをしても、そんな想定外な多くのパフォーマンスの欠陥を、我々はいかに典型的に無視しているのかというような)。 ゴッフマンは、彼の著作の『日常生活における自己呈示』で、社会心理学と社会学の用語中に「ドラマツルギー」を初めて導入した。この本は、俳優が役柄を描写するのと類似した方法で私達が日常生活でパフォーマンスに従事している多くの相互作用について探究している。
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