テナント訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 20:30 UTC 版)
「千日デパートビル火災民事訴訟」の記事における「テナント訴訟」の解説
千日デパートに入店していたテナントによる損害賠償請求訴訟は、罹災テナント業者が集まって結成した「千日デパート罹災業者復興対策委員会」を始めとして各テナント団体や出店テナント個別による訴訟が提起されたが、そのなかでもテナント団体「松和会(しょうわかい)」が日本ドリーム観光に対して、火災被害による損害賠償と賃借権保証を求めて争われた訴訟が最も代表的である。当初「松和会訴訟」において大きな争点となったのは、被告(日本ドリーム観光)には各テナントに対する保安管理契約が存在するのか、また原告(松和会)が被った損害について保安管理契約に基づく債務不履行の責任があるのか、以上2点についての有無であった。「中間判決」で被告に対して保安管理契約の存在と債務不履行の責任が認められたことにより、各方面で争われていた民事訴訟が大きく進展するきっかけとなった。中間判決後の争点は、具体的な補償額と補償範囲の決定に移っていったが、もっとも激しく争われたのはデパートビルの営業再開に際して、建物を補修して再利用するのか、それとも取り壊して新しく建て直すのか、この点について原告と被告の間で主張が対立した点だった。また被告がデパートビルを建て替える根拠として主張した「建物の物理的滅失および経済的滅失、それに伴うテナントの賃貸借権喪失」についても双方の間で、その存在の有無が争われた。最終的には原告側がデパートビルの建て替えを認め、被告側は原告の賃借権を保証して即決和解が成立した。その後、終局判決で補償額と補償範囲が確定し最終覚書が締結され、松和会は訴え取り下げ、訴訟は終結した。解決までに訴訟提起から15年9か月、火災発生からは17年2か月を要した。以下に「松和会訴訟」を中心にテナント訴訟の経緯を記す。 「松和会」とは、千日デパート創業時に賃貸契約テナント94業者で結成されたテナント団体である。設立の目的は賃貸契約テナントの権利保護についてデパート側と交渉し、店主同士の親睦を図るためだった。本件訴訟を提起した時点で36業者が加盟していた。団体名称の由来は「デパート側と和する」という意味合いで「和」一文字用い、日本ドリーム観光・代表取締役社長「松尾國三」の「松」とを合わせて団体名とした。
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