ダービーの激戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/06 02:36 UTC 版)
「ロバートザデヴィル」の記事における「ダービーの激戦」の解説
この年のダービーは、後世に「クラシック競走史上、最も激しかったレース」の一つにあげられている。 5月26日にエプソム競馬場で行われたダービーは、好天のため非常に堅い馬場になり、怪我を恐れて出走を取り消すものが多く出た。最終的に出走したのはわずか19頭に減ってしまった。出走馬が少なかったにもかかわらず、競馬場には大観衆が詰めかけ、パドックを大観衆が取り囲んで馬が移動できなくなったり、観衆が走路にまで溢れだしたせいでレースの発走は予定時刻より1時間あまり遅れた。 フレッド・アーチャー騎手が乗るベンドアが単勝3倍の1番人気だった。アーチャー騎手はダービーの1ヶ月前に右腕の筋肉を馬に食いちぎられるという重傷を負っており、まともに騎乗出来る状態ではなかったが、医者を欺いて騎乗にこぎつけた。アーチャー騎手は腕を鉄板で固定して臨んだが、そのせいでベンドアは他の馬よりも1ポンド重い斤量を背負ったことになった。(詳細はフレッド・アーチャー#ベンドアでのダービーの逸話参照。)。 E・ロシター(Rossiter)騎手が乗るロバートザデヴィルは単勝8倍の2番人気となった。 ロシター騎手はロバートザデヴィルをうまく発馬させ、すぐに2番手につけた。一方のベンドアは後手を踏んで後方からの競馬になった。ロバートザデヴィルは順調に先行した。丘の登り降りも無難にこなし、最終コーナーをまわって直線に入る頃と先頭になった。ベンドアのほうはスピードがつきすぎてコーナーをうまく回れず、内ラチに激突しそうになった。アーチャー騎手は片足をベンドアの首の上に乗せてなんとか難を逃れたが、鞭を落としてしまった。 残り200メートルというあたりで、ロバートザデヴィルは1頭だけ抜けた先頭になり、観客にはロバートザデヴィルの勝利は間違いないと思われた。しかしロシター騎手はライバルのベンドアを見失っており、余裕がありそうだと考えたロシター騎手は後ろを見回した。このときアーチャー騎手はベンドアを片腕で御して徐々に進出させ、既にロバートザデヴィルのすぐ後ろまで接近していた。ロシター騎手が油断した隙を突いて、アーチャー騎手は一気にベンドアをスパートさせ、ロバートザデヴィルに出し抜けを食わせた。ロバートザデヴィルも素晴らしい反応を見せて食い下がり、猛烈な争いの末、ベンドアがアタマ差だけ先にゴールに入った。 数々の不利をはねのけ「見事に」1番人気に応えたアーチャー騎手の騎乗は、生涯でダービー5勝をあげた中でも最も有名な騎乗の一つとされており、ダービーの歴史に残る名騎乗とも言われている。2頭の実力には差がなく、明暗を分けたのは、アーチャー騎手の腕前によるものだと考えられている。
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