ベンドアでのダービーの逸話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/02 06:57 UTC 版)
「フレッド・アーチャー」の記事における「ベンドアでのダービーの逸話」の解説
1880年のエプソムダービーの1ヶ月前、アーチャーは調教中に重傷を負った。アーチャーは、気性の悪いミューリーエドリスという馬を走らせるために強く鞭を入れた。ミューリーエドリスはアーチャーが下馬した時を狙って襲いかかり、アーチャーは押し倒されたうえに腕に噛みつかれて筋肉を断裂する大怪我をした。怪我と痛みは長引き、ダービーの時期になっても治癒しなかった。アーチャーはダービーの直前にロンドンの医者に行き、ダービーに行きたいと申し出た。医者は、アーチャーが騎手であると知らず、誰かに連れて行ってもらえるならダービーに行っても構わないと診断した。 アーチャーは怪我した腕を鉄板と包帯で固定し、痛み止めを服用して大本命のベンドアに乗った。ベンドアはダービーがこの年最初の出走で、勝負どころでロバートザデヴィル(Robert the Devil)に離された上、最終コーナーで内側の柵に衝突しそうになり、アーチャーは片脚をベンドアの頸に持ち上げて避けなければならなかった。アーチャーはなんとかベンドアを走らせようとしたが、怪我をして固定した方の腕で持っていた鞭を落としてしまった。最後の直線の勝負で、アーチャーは片腕だけでベンドアを御した。ベンドアは一気に伸びて先頭のロバートザデヴィルに迫った。勝利を確信して油断したロバートザデヴィルの騎手は、ベンドアの猛追に気づいて鞭を入れたが、手遅れになった。ベンドアは頭ひとつだけロバートザデヴィルを捉えて優勝した。このダービーは、クラシック史上最も激しいレースの一つに挙げられている。ベンドアの馬主であったウェストミンスター公爵は、初めてのダービー制覇に歓喜し、アーチャーに500ポンドを贈呈した。 レースの後、ベンドアに替え玉疑惑が持ち上がった。後世の調査では確かにベンドアは替え玉であったことが判明しているが、当時の裁定はベンドアを真正な優勝馬と認定した。アーチャーにとっては2度めのダービー優勝となった。
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