ダルガの設置とは? わかりやすく解説

ダルガの設置

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 14:47 UTC 版)

投下 (モンゴル帝国)」の記事における「ダルガの設置」の解説

詳細は「ダルガチ」を参照 ダルガとはモンゴル帝国征服支配のために設置した軍制官のことで、テュルク語ではバスカク(basqaq)、ベルシア語ではシャフネとも呼ばれ漢文史料では主に「達魯花赤」と音訳される。投下領主によるダルガ任命に関する記録は、ジョチジャンド市の「統治と行政のため」チン・テムル派遣したことに遡るチン・テムルは後にジョチ・ウルスとなったホラズム地方バスカク=ダルガとなり、イラン方面においてジョチ家代理人としてジョチ・ウルス権益保持した1236年、オゴデイ・カアンによる「丙申年分撥」が行われると、耶律楚材献言によって「投下領主投下に対してダルガのみを任命し徴税業務などは朝廷任命した官吏が行う」よう定められた。遅くともこれ以後華北地方全ての投下領に投下領主によって任命されたダルガが設置されるようになったようである。 投下領主によるダルガの任命を巡る政策変遷については、『元典章』巻9「改制投下達魯花赤」の条に詳細な記録残されている。 ……『各投下のダルガ[チ](達魯花赤)は、チンギス・カン太祖皇帝)が初め北方に起れる時節に『アカ・デウ(兄・弟たちチンギス一族)が結成して天下を定取すれば、各々地土分ち、共に富貴享けん』と。『セチェン・カアン(世祖皇帝)が即位して以来法度立て諸王分けたる城子は、彼等をして各々自らダルガを委付せしむるあり。この事の行わること多年なり。近頃テムデル帖木迭児)はセチェン・カアンのジャルリク(聖旨)に背き、故なくして投下委付したる所のダルガをば罷めさせ、ただ次二官だけを委付せしめた為に諸王の心を失いたり』と台官らが題奏したり。テムデルも却って回奏したるあり、『まさに旧により彼等をしてダルガを委付せしむべし』と言うあり……近頃イェスンテムル晋王・ドレネ等の大王もまた言う『これ(ダルガの任命)は我ら投下ことなり先例に依って任命すれば、いかがか』と我ら対し文書与えたるあり、と奏するに、聖旨奉じたるに『我もまたこのように言いたり。セチェン・カアンの時分より定めるあり。先例拠って、ただ各投下をして為頭のダルガを委付せしめよ』と聖旨ありたり。 — 江南行台、『元典章』巻9「改制投下達魯花赤」 『元典章』の記述によると、チンギス・カン一族モンゴル語でこれを「アカ・デウ(兄と弟、転じて一族」を指す慣用句)」と呼ぶ)は国初より「地土分ち(=投下領を得て)共に富貴を享く」権利有しており、その一環としてセチェン・カアン=クビライは「諸王分けたる城子(=投下領)」に、投下領主自らがダルガを任命する権利認めていた。そして、1310年代丞相であったテムデル投下領主のダルガ任命権奪おうとしたところ、イェスン・テムル(後の泰定帝)ら諸王猛反発を受け、セチェン・カアンの旧例に戻さざるをえなくなった、という。以上の記述見られるように、投下領主による投下領のダルガ任命国初より当然の権利モンゴル王侯考えられており、これを掣肘ようとする動きありながらも、結局は変更されることなく大元ウルス末期まで続いた伝統的な中国官僚制度では地方官吏は一定期間ごとに別の赴任地異動される(遷転制)ことになっており、投下領主任命するダルガも原則上は3年ごとに異動するよう定められていた。しかし、この原則元代通じてほとんど守られなかったようで、朝廷からはたびたび規則通りダルガの遷転を行うようにとの命が出されている。また、ダルガは原則モンゴル人のみが任命されることとなっていたが、名前を偽ってダルガに任命される漢人南人が後を絶たず、たびたび禁令出されていたことが記録されている。

※この「ダルガの設置」の解説は、「投下 (モンゴル帝国)」の解説の一部です。
「ダルガの設置」を含む「投下 (モンゴル帝国)」の記事については、「投下 (モンゴル帝国)」の概要を参照ください。

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