ソノバ議定書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/04/26 06:05 UTC 版)
しかし、そのアレギウムの繁栄に陰りが見え始めたのは、7213年の百年戦争(第三次銀河大戦)終結後の時で、一人の装甲騎兵が現れたことからだった。 その兵士こそキリコ・キュービィーであり、後に異能者と呼ばれるようになった男である。キリコはアレギウムから分離した秘密結社と戦い、その攻撃を尽く跳ね返し、ギルガメス、バララントという二大連合国家の干渉さえものともせず、さらにアストラギウス銀河を影で支配してきた「神」であるワイズマンの後継者にも指名されながら、銀河支配を拒み、それどころか「神」を殺したことで、アレギウム以上の力と権威を所有する機会を得つつ、それを自ら放棄した。 キリコに関わったことで秘密結社は壊滅、PS計画は破綻し、ギルガメス、バララント両国の力を持ってしても彼を屈服させ得なかったことと、アレギウムの信仰に適った力を持ちながら、それを否定する「異能者」キリコはアレギウムにとっては、教団支配下の銀河にあって許容されるべからざる異端者であった。しかも彼の所業により、ワイズマンからもたらされた超古代技術の入手も困難となってしまった。 7215年の第四次銀河大戦開始時に、キリコはPSフィアナと共にコールドカプセルに入るが、その後でキリコを教団に迎え入れるか、あるいは抹殺するかで意見が分かれた。 結局アレギウムは、キリコを「触れ得ざる者」と認定し、翌7216年に「触れ得ざる者キリコには手を出さないこと」として、ソノバ議定書を創り上げた。 マーティアルという教会において、「信仰は力と共にあるべき」なのだが、「あらゆる力」に服さず「力」を求めても愛しても仰いでもいない人物が究極の「力」ともいうべき存在であることは、「我らの信仰と矛盾」する神学上の重大問題であった。結局この神学論争は決着がつかなかったが、7215年の第四次銀河大戦開戦とほぼ時を同じくしてその矛盾の源であるキリコがコールドスリープ(冷凍睡眠)という形で自ら社会的な死を迎えてくれたため、それ以上彼については議論せず、関わることもせず「触れ得ざる者」であると定めることで、事態はひとまず収拾することができた。宇宙という大海に放り出された彼のコールドカプセルが、再び回収されて解凍される可能性は、万に一つもありえないはずであった。 「異能生存体」という概念の提唱者ヨラン・ペールゼンによるキリコの記録はアレギウム根本聖堂内の書庫に保管されていた。が、マーティアルはキリコを「異能者」であるとは認識していたが、絶対に殺せない神秘としての存在とは信じ切れていなかったようである。ゆえに、彼らがキリコを究極的「力」であると見なした理由は特定できない。力という「神」を人間自らが愛し追求する事を放棄し、科学技術で人工的に「攻撃衝動のみ」を脳に付与された「パーフェクトソルジャー」を作った「秘密結社」一派は、「神を見失った」異端者としてマーティアルを破門されている。
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