セル画式アニメの終焉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 03:51 UTC 版)
日本国内のアニメ業界では、1990年代後半以降、デジタル彩色の導入が業界規模で進行した。その一方でセル画製作の技術を持つ人材の減少・高齢化が急速に進行し、並行して業務用セルの流通が減少したことで業界各社はセル画による制作の継続に不安を持ち、さらにデジタル彩色の普及が加速度的に進む結果になったが、その中でも2000年代初頭の一時期にかけては、セル画の技術しか持たずデジタル彩色の技術習得の機会にも恵まれない中堅・ベテラン世代のフリーランスの彩色スタッフが一気に淘汰される結果にもなり、無事に業界に残った者の中にも、デジタル彩色の導入がテレビアニメほど急激に進まなかったアダルトアニメの制作に携わることで、デジタル彩色の技術を習得するまでギリギリ食い繋ぐなどといった状況が見られた。さらに時代が下り、現在[いつ?]ではアダルトアニメも含めてアニメ作品のほぼ全てがデジタル彩色となり、セル及び専用塗料の需要も最盛期の数十分の一まで落ち込み、売上、生産量共に大幅に減少しており、個人向けの画材として一部の大手画材店などでは販売が継続されているものの、業務用としてまとまった量の入手が困難になってきたことから、教育機関・養成機関などでのセル画技術の養成はもはや行われていない。 いずれにしても、セル画は材料がやがて入手不可能になるものと考えられ、最後まで唯一残っていた「サザエさん」も日本国内のみではセル画製作が人手不足で間に合わないため、全体の20~30%は中国への外注に依存している状況であった。遠からずセル画とその彩色技術が日本において完全に過去のものとなるという見方は、アニメ業界やアニメマスコミの関係者の中にも多い。 そしてテレビアニメ業界において、最後までセル画で製作されていた「サザエさん」のアニメの製作過程が完全にデジタル環境に移行し、2013年10月6日放送分よりデジタル式アニメになることに伴い、2013年9月29日放送分をもって今までのセル画とフィルム撮影での本放送が完全終了することになった。これをもって、テレビアニメ『鉄腕アトム』以来、50年間続いたセル画式アニメは現行のテレビアニメから全て姿を消すこととなった。
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