セル画からデジタルへ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 06:51 UTC 版)
「デジタルアニメ」の記事における「セル画からデジタルへ」の解説
本格的にデジタル化が進められるのは1990年代に入ってからである。特に1993年頃、米国ハリウッドで制作された「ジュラシック・パーク」を筆頭とする映画の大胆かつ緻密なCGは、分野を問わず世界に大きな衝撃を与えた。先進的な映画に影響されて各社においてもアニメ制作のデジタル化は推し進められ、日本では1997年から2002年の5年間に、セル画からデジタル彩色へと移行していった。 彩色については、1993年から東映動画がセルシスの開発したアニメ制作ツールを導入しており、1996年には、東映動画はセルシスが開発したアニメ制作ツール『RETAS! Pro』を導入し20%の経費節減に成功した。同年、GONZOが『LUNAR シルバースターストーリー』(角川書店発売のゲーム)で日本初のフルデジタル彩色アニメに挑戦。 押井守らによりアニメにおける自然なCG利用法が模索された。1993年の機動警察パトレイバー2 the Movieでは当時のCGの無機質さを活かして作中のデジタル機器の画面を中心にCGが用いられ、場面にマッチした違和感の少ないCG描画が実現された。1995年のGHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊ではデジタルエフェクトが導入され、画面奥方向の距離に応じた歪みを加えるなど、セル画では難しい緻密な描画が実現された。 テレビアニメでは、1997年4月の『ゲゲゲの鬼太郎 (第4期)』(第64話以降)や『超特急ヒカリアン』等で本格的にデジタル彩色の導入を開始したが、それ以前の作品にも部分的にデジタル彩色が使用された事例がある(後述)。 1999年のアニメ版『エクセルサーガ』(アニメ制作: J.C.STAFF)のころには、アニメ版のストーリー中(第17話「アニメーションUSA」)で、アニメ版『エクセルサーガ』自身も含んでセル画ではなくデジタル彩色であり、当時すでに日本のアニメ産業では多くの作品セル画ではなくデジタル彩色の作品が多いというエピソードがあった。 デジタル「彩色」とは言うものの、実際にはセル画の実物を省く工程であるので、90年後半のこのころ、彩色だけでなく撮影や特殊効果(透過光など)の工程もデジタル化していった。 1997年の『劇場版 新世紀エヴァンゲリオン』では、撮影のデジタル化によって、メカなどの動きで従来(テレビ放送版)のセル画では不可能だった動きが実現できるようになったとパンフレットなどで喧伝されていた。
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