セミフォーマル系・スポーツ系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 20:48 UTC 版)
「外套」の記事における「セミフォーマル系・スポーツ系」の解説
アルスターコート(ガーズコート、ガーズマンコート) トレンチコートの元祖。元々、北アイルランドのアルスター地方産のウール素材を使用したことが名の由来。1860年代末に男性用として登場し、のちに女性用にもデザインが採用されるようになった。英国の旅行着として流行し、シャーロック・ホームズのシリーズの一作におけるホームズの旅行外套としてもアルスターコートが取り上げられている。 アルスターカラーの前袷がダブルフロントの6ボタンか8つボタンが特徴。取り外しができるフードやケープつきで、背バンドという帯が背中に付いている。仲間にポロコート、ブリティッシュウォーマーがある。重い生地で仕立てることが多かったためヘビーコートとも呼ばれ、また袷の深いダブルフロントで嵐にも耐える意味からストームコートとも呼ばれる。 ポロコート ポロ競技者が待ち時間に着用するイギリス発祥の厚手ウール製のロングコートで、ブリティッシュウォーマー、アルスターコートと関連が深い。元々ウエイト・コートとよばれていたが、アメリカに渡り、ブルックス・ブラザーズ社からポロコートの名で売り出された。ダブル6つボタン。背バンドが付き、袖口は幅広の折り返しのターンナップカフ、襟はアルスターカラーまたはピークドラペル、ポケットは大きめのフレームドパッチ式ポケットが特徴。 日本には20世紀半ばにアイヴィールックのアイテムの一つとして米国経由で紹介され、その当時ブルックス・ブラザーズ社が提案したキャメルブラウンのポロコートが人気を博した。但しブルックス・ブラザースモデル以前の、英国での伝統的ポロコートはダークカラーが中心であったとの説もある。 カバートコート 古くは乗馬や狩猟の際の防寒外套として、カバートクロスと呼ばれる丈夫な綾織りウールで作ることから名づけられたコート。カバートクロス生地は、狩猟時に獲物を追いながら木立や藪をくぐり抜ける際に引っ掛かったり鉤裂きが起きにくいように、起毛を寝かせ滑らかに仕上げられていることが多い。 チェスターフィールドコートと同様にフォーマルで用いられる場合もあり、また20世紀前半から英国の街着としても流行し今日に至る。意匠としては、袖に3本から4本のステッチ(レールウェイステッチと呼ばれる)が入り、前袷は風が入りにくい比翼仕立てのシングル3つまたは4つボタン。 ローデンコート(ローデンシューティングコート、オーストリアンローデンシューティングコート) オーストリア西部のチロル地方でつくられる厚手の縮絨ウール生地・ローデンクロスで作られるコートで、本来は狩猟や農業、林業に用いられた。ローデンは、ウール本来の脂を残すことにより、防水性を持った素材で、多様な色に染められる。 深めの前袷に打ち抜きのくるみボタン、脇の下を縫い付けないことにより肩周りの可動域を広く取り猟銃を構えやすくするフローティングショルダー構造が特徴。昔ながらのローデンコートはローデン・グリーンと呼ばれる緑がかった色合いのものが多い。 スポルベリーノ イタリア発祥の比較的軽量な防寒外套で、芯地や肩パッドなどの副素材がほとんど無い柔らかい着用感が特徴。研究職の白衣、ダスターコートを外出用に転用したとの説がある。 チェスターフィールドコートの意匠を踏襲しているがチェスターフィールドよりもフォーマル性は低く、用いられるのはセミ・フォーマル或いはドレス・カジュアルの場が中心。
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