ステッピングモーター式タコメーター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 01:07 UTC 版)
「タコメーター」の記事における「ステッピングモーター式タコメーター」の解説
電気式タコメーターは、パルスカウント式、ECU信号式のいずれの場合もメーター本体は電圧計または電流計が使用されてきたが、これらのメーターは電磁誘導による力とリターンスプリングの力をバランスさせることで指示を行う。したがって、これら2種類以外の外力(車両の旋回による遠心力など)が加わった場合、力のバランスが崩れ、指示位置が狂う、針が振動して読み取りが困難になる、などの問題が存在した。この問題はレースなどの過酷な使用環境で深刻であり、これの解決のために、1990年前後からステッピングモーターを使用した針式のタコメーターが登場している。リターンスプリングや指針の微振動を抑えるダンピング機構を持たないため、指針のオーバーシュートやアンダーシュートが原理的に生じない。指針の移動中であっても極めて正確に回転数を示し続けることができる。 ステッピングモーターは軸の位置を電磁力で常に保持するもので、モーター回転子の質量に比べ指針の質量が充分小さいため、外部からの振動や遠心力では針の位置は狂わない。一方でステッピングモーターを作動させるには、駆動電源として電圧等のアナログ量ではなく、位相が異なる複数の駆動パルスを与える必要があり、駆動パルスを生成するためのデジタル回路による制御が必須となる(したがって、ステッピングモーター式メーターは針式ではあってもアナログメーターではなく、デジタルメーターの一種である)。しかし、電子回路による制御は高速化が容易なため、電圧計/電流計方式と比較してもはるかに高速でメーターを作動させることが可能である。指示が正確で、かつ高速に動作するステッピングモーター方式は従来の電子式と比較し全ての性能において勝っているが、反面、モーター本体、制御用の電子回路を含め、構成部品にコストがかかり、登場当時は非常に高価な機器となった。 その後、一般家電にステッピングモーターが広く普及し、部品が安価に供給可能となったため、一般のアフターマーケット向けのタコメーターも販売されている。電子回路を内蔵しており、エンジンの回転数検出には電気式タコメーターと同じく点火パルスを用いる。気筒数選択スイッチを持つことも電気式タコメーターと同様である。なお、ステッピングモータ式のメータは、針を制御回路によって自由に動かすことができる。これを利用し実用目的以外のギミック的な要素を入れる事が容易であり、一般向けのタコメーターでは、起動時にいったん針がフルスケールまで振り切ってからゼロ位置まで戻る機能(これは、航空機においてサバイバビリティに直結するようなアナログ計器類を、機体起動時にチェックするように採用されていた機能のフェイク)、または、クラシックカー時代の時計式タコメーターの動きを模して、針の移動を1秒程度の間隔で間欠的に行う機能などが見られる。
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