スクアランとは? わかりやすく解説

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スクアラン【squalane】


スクアラン

分子式C30H62
その他の名称スクアラン、Squalane、2,6,10,15,19,23-Hexamethyltetracosane、Cosbiol、Robane、ロバン、コスビオール
体系名:2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサン


スクアラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/03 22:42 UTC 版)

スクアラン
識別情報
CAS登録番号 111-01-3 
PubChem 8089
ChemSpider 7798 
UNII GW89575KF9 
EC番号 203-825-6
KEGG D05915 
MeSH squalane
RTECS番号 XB6070000
バイルシュタイン 776019
特性
化学式 C30H62
モル質量 422.81 g mol−1
外観 無色の液体
匂い 無臭
密度 810 mg/mL
融点

-38 ℃

沸点

176 ℃ (at 7 Pa)

屈折率 (nD) 1.452
粘度 31.123 mPa·s[2]
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −871.1...−858.3 kJ/mol
標準燃焼熱 ΔcHo −19.8062...−19.7964 MJ/mol
標準定圧モル比熱, Cpo 886.36 J/(K·mol)
危険性
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード WARNING
Hフレーズ H315, H319, H335
Pフレーズ P261, P305+351+338
引火点 218 °C (424 °F; 491 K)
関連する物質
関連するアルカン フィタン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

スクアラン英語: squalane)は、化学式が ((CH
3
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2
有機化合物である。無色の炭化水素で、スクアレンの水素化誘導体であるが、市販品は天然由来のものである[3]。スクワレンとは対照的に、スクワランは完全に飽和しているため、自動酸化を受けない。低コストかつ、この物理的性質により、化粧品保湿剤として使われている[4]

生産

スクアレンは伝統的にサメの肝臓から生産されており、1トンのスクアランを作るのに約3,000個必要であった[5]。環境への懸念から、2014年現在はオリーブ油サトウキビなど他の供給源が商業化され業界全体の約40%を占めている[5]

サトウキビからのスクアラン製造では、遺伝子組み換えSaccharomyces cerevisiaeによるサトウキビ糖の発酵によりファルネセンが作られる[5]。その後、ファルネセンはイソスクアレンに二量体化され、水素化されてスクアランとなる[5][6]

オリーブからのスクアラン製造では、スクアレンはグリーンケミストリープロセスによってオリーブオイル残渣から抽出され、水素化されてスクワランとなる[7]

化粧品での利用

スクアランは1950年代に保湿剤として導入された[5]。スクアレンの不飽和型はヒトの皮脂またはサメの肝臓から生産されている[8][9]。スクアランの急性毒性は低く、ヒトの皮膚刺激性や感作性は高くない[10][11]

その他

スクアレンを水素化しスクアランを合成することは1916年に初めて報告された[12][5]

出典

  1. ^ Squalane - Compound Summary”. PubChem Compound. USA: National Center for Biotechnology Information (26 March 2005). 15 March 2012閲覧。
  2. ^ Lal, Krishan; Tripathi, Neelima; Dubey, Gyan P. (2000). “Densities, Viscosities, and Refractive Indices of Binary Liquid Mixtures of Hexane, Decane, Hexadecane, and Squalane with Benzene at 298.15 K”. Journal of Chemical & Engineering Data 45 (5): 961–964. doi:10.1021/je000103x. ISSN 0021-9568. 
  3. ^ Sell, Charles S. (2006). “Terpenoids”. Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology. doi:10.1002/0471238961.2005181602120504.a01.pub2. ISBN 0471238961 
  4. ^ Rosenthal, Maurice L. (2002). “Squalane: the natural moisturizer”. In Schlossman, Mitchell L.. Chemistry and Manufacture of Cosmetics. 3 (Bk. 2) (3rd ed.). pp. 869–875 
  5. ^ a b c d e f Ciriminna, Rosaria; Pandarus, Valerica; Béland, François; Pagliaro, Mario (2014). “Catalytic Hydrogenation of Squalene to Squalane”. Organic Process Research & Development 18 (9): 1110–1115. doi:10.1021/op5002337. https://www.academia.edu/14200386. 
  6. ^ “Deriving Renewable Squalane from Sugarcane”. Cosmetics & Toiletries 129 (6). (2014). http://www.centerchem.com/Customer-Content/www/News/PDFs/CT1407_RenewableEmollientfromSugarcane-Amyris.pdf. 
  7. ^ Rodrigues R. ; Pinatel C. (2023). “Upcycled Olive Squalane and Green Chemistry”. AZ Cosmetic Ingredients Guide, Expression Cosmétique (2023): 408–412. https://en.expression-cosmetique.fr/boutique?Category=AZ%2520Cosmetic%2520Ingredients%2520Guide%2520. 
  8. ^ Pappas, A (2009). “Epidermal surface lipids”. Dermato-endocrinology 1 (2): 72–76. doi:10.4161/derm.1.2.7811. PMC 2835894. PMID 20224687. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2835894/. 
  9. ^ Allison, Anthony C. (1999). “Squalene and Squalane Emulsions as Adjuvants”. Methods 19 (1): 87–93. doi:10.1006/meth.1999.0832. PMID 10525443. 
  10. ^ “Final Report on the Safety Assessment of Squalane and Squalene”. International Journal of Toxicology 1 (2): 37–56. (1982). doi:10.3109/10915818209013146. 
  11. ^ “Final Report on the Safety Assessment of Squalane and Squalene”. International Journal of Toxicology 1 (2): 37–56. (1982). doi:10.3109/10915818209013146. http://www.beauty-review.nl/wp-content/uploads/2014/08/Final-Report-on-the-Safety-Assessment-of-Squalane-and-Squalene.pdf. 
  12. ^ Tsujimoto, M. (1916). “A highly unsaturated hydrocarbon in shark liver oil”. Ind. Eng. Chem. 8 (10): 889–896. doi:10.1021/i500010a005. https://zenodo.org/record/1428710. 

スクアラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 14:37 UTC 版)

スクアレン」の記事における「スクアラン」の解説

スクアレンIUPAC名 2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサン 別名 スクアラン 分子式 C30H62 分子量 422.826 CAS登録番号 111-01-3 密度と相 0.810 g/cm3, 融点38 °C 沸点 176 °C スクアラン (squalaneスクワランとの表記もある) はスクアレン水素添加施した硬化油である。ゲラニルアセトンアセチレン反応からスクワランジオールを経て化学的に合成するともできる保湿性があり化粧品含有され戦時には機械潤滑油としても用いられた。 無色液体潤滑性優れ、主にクリームなど化粧品油剤皮膚の保湿剤軟膏座薬製造使用される工業的に離型剤潤滑油ガスクロマトグラフ固定相などに使われる妊婦乳首に異常が生じた際に、硬さ浮腫発赤胞、亀裂対し従来10%前後改善しかないが、スクアランで過半数改善し副作用見られなかった。

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「スクアラン」を含む「スクアレン」の記事については、「スクアレン」の概要を参照ください。

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