スギ人工林と分収林
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 14:55 UTC 版)
詳細は「分収林」を参照 日本における人工林は、スギとヒノキの2樹種だけで造営面積全体の約65%を占めており、スギが450万ヘクタール (ha) で最も多く、造林面積の40%を占め、県別では秋田県が1位である。日本の林業を支えてきた樹種であり、ヒノキよりもスギのほうが山地の中腹以下で湿った場所が生育に適し、生長量も多く経済的に有利であるなど、その他さまざまな理由でスギ人工林が増えていった。スギは春に大量の花粉を生産して風に乗せて飛散することから、日本で起こる花粉症の原因植物の筆頭に挙げられている。スギの人工林では、よい材を育てるために、過密林を避けて成木の間引きが行われ、これを「間伐林」という。 分収林は森林の所有と経営形態の一つである。土地の所有者とは別に樹木を育て経営する者を置き、樹木の伐採などで収入があった場合には両者で折半するというものである。古くから奈良県の吉野地方などで知られた手法であり、現地では「借地林業」などと呼ばれている。 戦後、針葉樹人工林を拡大(いわゆる拡大造林)するにあたり、土地所有者自身による植栽と共にこの手法が併用され、国や都道府県が地上権を取得したうえで地拵えから植栽、間伐、収穫まで行うという契約で官行造林・県行造林として税金を投入して全国で広大な造林地が生まれた。スギはこの際にもよく植林された代表的な樹種である。この政策は長期的な木材需要に対応したり、経済的な格差が開いてしまった都市部から山村地域に税金を還流し富の再分配的な意義もあったといわれるが、人件費の高騰や木材価格の下落などで各地の分収林経営は大きな赤字となっており問題になっている。
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