サホロリゾート
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/02 14:16 UTC 版)
サホロリゾート(Sahoro Resort)は、北海道上川郡新得町にあるリゾート施設。
1922年(大正11年)に北海道帝国大学(現在の北海道大学)スキー部の板倉勝宣らが佐幌岳でスキー登山を行い、日高山脈登山の先駆けになった[1]。1937年(昭和12年)には佐幌岳で「全十勝滑降スキー大会」が開催された[2]。観光開発が本格的に始まったのは1970年代だが、スキー場としての歴史は古い[2]。
歴史
1984年9月、セゾングループは世界最大のバカンスクラブ所有会社の地中海クラブ(現・クラブメッド)と業務提携を結び[3]、11月には両社の折半出資によって、バカンス村開設のための提携・合併を調査することを目的にエス・シー・エム・レジャー開発(資本金7500万円)が設立された[4]。同社は、全国の地方自治体や各企業から提供されるバカンス村の候補地の開発可能性について、セゾングループの施設に限定せずに検討し、地域振興に協力することも業務の1つとしていた[4]。エス・シー・エムは、海岸、山岳、都市近郊型レジャーの3施設にわけてバカンス村の候補地を探していた[4]。1道1府16県から誘致希望があったが、山岳型レジャー基地の開発からスタートすることとし、その第1号が北海道の「Club Med サホロ」であった[4]。立地する狩勝高原は、狩勝高原スキー場周辺地域を含む広域のリゾート開発によって、地域の経済発展への寄与を目的とする10年~20年という長期間のサホロリゾート開発構想があり、バカンス村はリゾート開発構想の核としての期待が持たれた[4]。
エス・シー・エムは、業績不振であった狩勝コンチネンタルホテルの運営権を第3セクターの狩勝高原開発から譲り受け、このホテルを核に、従来からのサホロ国際スキー場(買収後、サホロリゾートスキー場に名称変更)、狩勝パシフィックカントリークラブ(買収後、サホロ・カントリークラブに名称変更)、などを次々に買収し、これら既存施設を活用してバカンス村を開設することにしたのである[4]。
1985年8月には、サホロエリアを北海道のリゾートシンボルとすることを目的に、セゾングループの西洋環境開発がエス・ディ・アイ(1986年10月1日サホロリゾートに商号変更)を設立[5]、開村に先立ち、地中海クラブのライフスタイルを日本に紹介するため、つくば万博の期間中(1985年3月8日~9月16日)には、茨城県・筑波にル・ヴィラージュをオープンし、PRに努めた[6]。
Club Med サホロとしてオープン
1987年12月、日本初の地中海クラブバカンス村「Club Med サホロ」がオープンした[4]。世界で107番目としてオープンしたバカンス村の運営は、狩勝高原開発とサホロリゾートがあたった[4]。総事業費は、20世紀中に約1000億円を見込み、周辺の鹿追町、上士幌をはじめとした十勝地域全域への貢献を目指した[6]。
加森観光が買収
西洋環境開発は、バブル経済期に多角化してリゾート、レジャー関連のディベロッパー事業を大規模に展開し、その完成事業の不振や仕入物件の減価が損失を膨張させた[7]。負債額は、1994年度末には西環本体で5039億円、関連会社が2488億円、合計で7527億円にまで達していた[8]。紆余曲折を経て、西環および関連会社は一括して法的処理されることになり、2000年にサホロリゾート、狩勝高原開発は民事再生法の適用を申請した(西環は特別清算)[9]。再建を模索した2社は、地元からの熱心な要請に応えて、2001年、サホロリゾートの運営を全面的に受託していた加森観光の子会社サホロマネージメントが買収している[10]。
沿革
- 1973年(昭和48年):「狩勝高原開発事業」スタート[2]。
- 1975年(昭和50年):「狩勝パシフィックカントリークラブ」(現在のサホロカントリークラブ)オープン[1]。
- 1980年(昭和55年):「狩勝高原スキー場」オープン[2]。運営は当時旭川市でサンバレースキー場(現・サンタプレゼントパーク)を運営していた三榮スポーツ産業(現・三榮プロパティマネジメント)が担当した[11]。
- 1982年(昭和57年):狩勝高原開発設立[1]。
- 1983年(昭和58年):「狩勝コンチネンタルホテル」オープン[1]。狩勝高原スキー場が「サホロ国際スキー場」と改称[1]。
- 1985年(昭和60年)
- 1986年(昭和61年):「サホロリゾートホテル」オープン[11]。西洋環境開発がサホロスキーリゾートを買収[11]。
- 1987年(昭和62年):日本国内初となるとなるバカンス村「クラブメッド・サホロ」(現在のクラブメッド北海道サホロ)オープン(エス・シー・エム運営)[2][11]。狩勝パシフィックカントリークラブ買収。
- 1997年(平成9年):サホロリゾートと加森観光が業務提携[12]。
- 1999年(平成11年):加森観光が全面的に運営を受託し[12]、子会社のサホロマネージメント運営となる。
- 2000年(平成12年):西洋環境開発が特別清算申請[10]。
- 2001年(平成13年):サホロマネージメントがサホロリゾート、狩勝高原開発、鎌倉西洋の株式を取得[13]。
- 2006年(平成18年):「サホロリゾート ベア・マウンテン」オープン[14]。
- 2016年(平成28年):サホロ岳北側斜面にコース増設[15][16]。
施設
宿泊施設
サホロリゾートホテル
サホロリゾートホテル Sahoro Resort Hotel |
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---|---|
ホテル概要 | |
ホテルチェーン | 加森観光 |
部屋数 | 165室 |
駐車場 | 100台 |
最寄駅 | 新得駅 |
最寄IC | トマムIC(札幌方面) 十勝清水IC(釧路方面) |
所在地 | 〒081-0039 北海道上川郡新得町狩勝高原 |
客室
- ガーデンルーム (30 m²)
- コンフォートルーム (35 m²)
- 北側客室
- デラックスツイン (30 m²)
- コーナーツイン (35 m²)
- 南側客室
- スタンダードツイン (26 m²)
- デラックスツイン (30 m²)
- スイート (60 m²)
浴場
- サホロイオンスパ「リフレ」
- 露天風呂「麦飯石の湯」
食事処・宴会場
その他
- 売店[17]
- 託児所
- コインランドリー
- DOG-HOUSE(北館広場)
クラブメッド北海道サホロ
-
クラブメッド北海道サホロ
ゴルフ場
サホロカントリークラブ Sahoro Country Club |
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![]() |
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所在地 | ![]() 北海道上川郡新得町新内 |
![]() |
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開業 | 1975年 |
運営 | 加森観光 |
設計 | 土肥勇 |
![]() |
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コース
HOLE | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | OUT | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
B.T. | 395 | 515 | 443 | 202 | 418 | 533 | 431 | 185 | 650 | 3,472 | |
R.T. | 395 | 500 | 419 | 181 | 383 | 496 | 406 | 165 | 325 | 3,270 | |
Par | 4 | 5 | 4 | 3 | 4 | 5 | 4 | 3 | 4 | 36 | |
HOLE | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | IN | TOTAL |
B.T. | 398 | 188 | 422 | 539 | 431 | 177 | 363 | 415 | 523 | 3,456 | 6,928 |
R.T. | 398 | 173 | 398 | 516 | 398 | 156 | 333 | 391 | 493 | 3,256 | 6,526 |
Par | 4 | 3 | 4 | 5 | 4 | 3 | 4 | 4 | 5 | 36 | 72 |
施設
- クラブハウス
スキー場
サホロリゾートスキー場 | |
---|---|
Sahoro Ski Area | |
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2011年4月
|
|
所在地 | 〒018-0039 北海道上川郡新得町字新内西5線148-3 |
旧名 | 狩勝高原スキー場、サホロ国際スキー場 |
開業日 | 1980年 |
造設地形 | 佐幌岳 |
標高 | 1,030 m - 420 m |
標高差 | 610 m |
コース数 | 21本 |
コース全長 | 25.91 km |
索道数 | 9本 |
ナイター設備 | 無 |
ナイター営業 | 無 |
営業期間 | 12月2日 - 4月6日予定 (2024年-2025年シーズン) |
公式サイト | サホロリゾートスキー場 |
佐幌岳の斜面を利用しており、晴れた日は十勝平野が一望できる。ICカードによるリフト券をゲートに近づけるだけで通過することができる「ICカードゲートシステム」を導入している。全日本スキー連盟(SAJ)や日本スノーボード協会(JSBA)公認の「スキーバッジテスト」を開催している。
コース
初級
- ノース・ストリート
- セントラル・ストリート
- サウス・ストリート
- ノース・ロード
- セントラル・ロード
- セカンド・セントラル・ロード
- ザ・スカーツ・ロード
- サウス・ロード
- スリリング・ロード
- N5ロマンスコース
中級
- ノース・アベニュー
- セントラル・アベニュー
- セカンド・ノース・アベニュー
- N3チャレンジコース
- N4エキスパートコース
上級
- ノース・ウェイ
- セントラル・ウェイ
- セカンド・セントラル・ウェイ
- サウス・ウェイ
- センター・ボウル・ウェイ
- N1ダウンヒルコース
- N2ダイナミックコース
リフト
- サホロゴンドラ
- 第1高速リフト
- 第2高速リフト
- 第4リフト
- 第6リフト
- 第6ペアリフト
- 第7リフト
- 第8リフト
- サホロエキスプレス
ゴンドラステーション
- インフォメーションカウンター
- リフト・ゴンドラ券発券所
- スキー&スノーボードスクールカウンター
- レンタルコーナー
- スキーパトロール室・救護室
- ロッカールーム・更衣室
- 売店
- フォーマルハウト(レストラン)
ベア・マウンテン
-
サホロリゾート ベア・マウンテン
アクティビティ
夏期
冬期
- バックカントリーツアー
- スノーシューダウンヒル
- エアボードツアー
- 圧雪者しばれナイトツアー
- ヒグマの森スノーシューツアー
- わかさぎ釣りツアー
- 木登りチャレンジ
- 霞の滝トレッキングツアー
- 雪原ホーストレッキング
- スノーモービル
アクセス
- 帯広市から車で約60分
- とかち帯広空港(帯広空港)から車で約80分
- 新千歳空港から車で約1時間40分
- 旭川空港から車で約2時間
- 旭川市から車で約2時間15分
- 札幌市から車で約2時間40分
- たんちょう釧路空港(釧路空港)から車で約3時間
- 釧路市から車で約3時間10分
- JR新得駅から無料送迎バスまたはタクシー
脚注
注釈
- ^ 後に「トマムサホロエクスプレス」「クリスタルエクスプレス トマム & サホロ」「ノースレインボーエクスプレス」が運行している。
出典
- ^ a b c d e “狩勝高原・新内地区の概歴”. 狩勝高原エコトロッコ鉄道. 2016年11月22日閲覧。
- ^ a b c d e “町勢要覧(資料編)” (PDF). 新得町. pp. 34-37 (2014年). 2016年11月18日閲覧。
- ^ セゾンの歴史 下巻 1991, p. 560.
- ^ a b c d e f g h セゾンの歴史 下巻 1991, p. 561.
- ^ セゾンの活動 1991, p. 246.
- ^ a b 「順調にすべりだした長期滞在型"サホロリゾート" / (株)西洋環境開発」『ショッピングセンター』1988年5月号
- ^ 由井, 田付 & 伊藤 2010, p. 120 - 121.
- ^ 由井, 田付 & 伊藤 2010, p. 122.
- ^ 由井, 田付 & 伊藤 2010, p. 132.
- ^ a b “サホロリゾートを買収/西洋環境開発から”. 四国新聞 (2001年5月31日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ a b c d e f “三榮プロパティマネジメント株式会社”. 2016年11月21日閲覧。
- ^ a b c 河西邦人.
- ^ “平成13年 第5回 新得町議会会議録” (PDF). 新得町. p. 6 (2001年11月30日). 2016年11月18日閲覧。
- ^ “国内初の「ベア・マウンテン」開園!”. 北海道ファンマガジン (2006年5月1日). 2016年11月18日閲覧。
- ^ 『サホロスキー場 新コース12月開設方針 加森観光』北海道新聞社、2016年9月19日、該当時間: 0:55 。2016年11月23日閲覧。
- ^ サホロリゾートスキー場に新コース開設-中上級向け 北海道新聞(2016年12月26日)2016年12月28日閲覧
- ^ a b c d e f g h 館内図.
参考資料
- 由井常彦 編『セゾンの歴史 下巻 変革のダイナミズム』リブロポート〈Serie SAISON 2〉、1991年6月。ISBN 978-4845706259。
- セゾングループ史編纂委員会 編『セゾンの活動 年表・資料集』リブロポート〈Serie SAISON 3〉、1991年11月。 ISBN 978-4845706266。
- 河西邦人. “ルスツリゾートスキー場”. New Directions of All Around Management. 2016年11月18日閲覧。
- “サホロリゾートホテル館内図” (PDF). 十勝サホロリゾート. 2016年11月18日閲覧。
- 由井常彦、田付茉莉子、伊藤修『セゾンの挫折と再生』山愛書院、2010年3月。 ISBN 978-4434143137。
関連項目
- 北海道パウダーベルト
- 新得町総合体育館(サホロアリーナ)
- 佐幌岳
外部リンク
- サホロリゾートのページへのリンク