ゴムベルト式CVT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 16:03 UTC 版)
エンジン側プーリーに内蔵されたウエイトローラーというおもりが、回転数により生じる遠心力の大小でその位置を変えることで径を変える機構。ゴム製ベルトの張力により駆動を伝える無段変速機は20世紀初頭から存在していたが、当初は伝達できるトルクが小さくゴムベルトの耐久性も不十分であったためスクーターや小型車などの低出力エンジンの車両にしか使用できなかった。 自動車でこの方式を本格的に採用した最初はオランダのDAF(のちのDAFトラックス→現VDLネッドカー)で、1958年に発売した小型車「DAF 600(英語版)」に、自社開発のゴムベルト式無段変速システム「ヴァリオマチック(英語版)」を遠心式クラッチと組み合わせ搭載した。ドライブ側のプーリー幅は内部の遠心ウェイトおよび吸気マニホールドの負圧で制御され、ドリブン側はそれには追従する形となっていた。変速機構はディファレンシャルギアで両輪へ分割された後に置かれるため、現在の一般的なベルト式CVTのような1つのベルトと一対のプーリーという構成ではなく、左右の後輪それぞれに機構が存在する。しかし上述のゴムベルトの弱点の他に、構造上スペースを大きくとられること、デリケートな変速機構が外部に晒されていることなど、課題も多かった。 スクーターの駆動方式では、現代に至るまでこの手法が主流を占めている。ベルトにはプーリーとの接触面積を極力広くとれるようVベルトが使用される。曲げ抵抗と変形に伴う発熱を抑えるべく、内面に切り欠きを設けた特殊なものである。本田技研工業ではスクーターにおけるゴムベルト式CVTを「Vマチック」と呼称する。2007年現在ではウエイトローラーに代わってプーリー径を電子制御するマニュアルスイッチ付きCVTも現れており、より柔軟な変速が行える。擬似的に通常のマニュアル式変速機のように操作することもでき、これによりドライバーの意思に反する変速を防ぎ、疑似シフトチェンジを味わえたりエンジンブレーキを用いたりといったスポーティな運転が可能。
※この「ゴムベルト式CVT」の解説は、「無段変速機」の解説の一部です。
「ゴムベルト式CVT」を含む「無段変速機」の記事については、「無段変速機」の概要を参照ください。
- ゴムベルト式CVTのページへのリンク