コーデックスXII
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 04:13 UTC 版)
「ナグ・ハマディ写本」の記事における「コーデックスXII」の解説
コーデックスXIIは、四世紀前半に筆写されたと推定されている。 コーデックス番号題名備考XII 1 セクストゥスの金言 ナグ・ハマディ写本以外に、パトモス写本(10世紀)とヴァチカン写本(14世紀)にも伝わっている。後者は共にギリシア語で書かれている。これ以外にも、ラテン語訳の写本(ラテン教父の一人ルフィヌスによるラテン語訳)やシリア語訳、アルメニア語訳、ゲオルギア語訳、エチオピア語訳が伝わっている。ルフィヌスは、伝説によればと断った上で、三世紀半ばのローマの司教クシュストゥス二世の作であると述べている。一方、ヒエロニュモスは、ルフィヌスの言はでたらめで真の作者は「ピュタゴラス主義者セクストゥス」であると書いているが、実際にこれが誰のことなのかははっきりしない。ナグ・ハマディ写本の「セクストゥスの金言」がギリシア語原本からコプト語訳したものであるのは本文より明瞭に見て取れる。「セクストゥスの金言」は古代末期の多くの文献に記録が残されている。その最初のものはオリゲネスによる「ケルテス論駁」である。これより、ギリシア語原本は二世紀末に成立したものと推定されている。コーデックスXII所収の「セクストゥスの金言」はパピルス5枚10ページ分しか残っておらず、どのページも上部が欠損していて単独での復元は難しい。本書にグノーシス的な要素は皆無である。 2 真理の福音(の一部) 3 断片 コーデックスXIIの最後には2つの断片だけが残されている。2つの断片ではあるが、実質的には1枚と言ってよく、もう1枚の断片は、数語が確認できる程度しか残っていない。これらが同じ文書からのものなのかどうかは不明である。残されている断片に題名は書かれていない。残されている文章量が少なすぎるため内容はよくわからないが、宗教的な文脈の中で倫理的な教えを説いたものらしい。原本がギリシア語であったかどうかを決定する要素はないが、それを疑う根拠があるわけでもない。残されている文章を見る限り、グノーシス的要素は見られない。
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