コーデックスX
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 04:13 UTC 版)
「ナグ・ハマディ写本」の記事における「コーデックスX」の解説
コーデックスXは、四世紀半ばに筆写されたと推定されている。 コーデックス番号題名備考X 1 マルサネス コーデックスXには「マルサネス」以外収録されていないが、元々そうだったのか、他に収録されていた文書があって失われてしまったのかはわからない。写本の保存状態はナグ・ハマディ文書中最悪である。完全またはほぼ完全に残っているページは数えるほどしかなく大半のページは大きく欠損している、あるいは完全に消失してしまっている。原本がギリシア語で書かれていたことは明らかである。題名の「マルサネス」は本文の最後に書かれている。損傷が激しく読みにくかったが1970年代に解読され、その後は研究上確定している。内容は広義の黙示録と言え、「ツォストリアノス」とよく似ているが、「ツォストリアノス」に比べて記述はずっと簡略である。「マルサネス」は、主人公のマルサネスが啓示者の助けを借りて、宇宙の階層構造を最下位の地上から最上位の至高の存在まで認識していく過程を描いている。「マルサネス」では、宇宙は13層から成っていると説明されており、各層は「…の封印」と名付けられている。「第3,2,1の封印」が物質的な世界であるこの世に相当し、「第13の封印」が至高者の世界である。「ツォストリアノス」では「見えざる霊」が最高の至高の存在だったが、「マルサネス」ではその更に上位に「今だかつて知られたことのない沈黙者」という存在をおいている点が新しい。
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