コーデックスXIII
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 04:13 UTC 版)
「ナグ・ハマディ写本」の記事における「コーデックスXIII」の解説
コーデックス番号題名備考XIII 1 三体のプローテンノイア 題名は、本文の最後にギリシア語で書かれている。ただし、正確には「顕現の教え 三」「三体のプローテンノイア 三」「父によって書かれたる聖なる書」「完全なる知識をもって」と書かれている。「顕現の教え 三」は、本文書の第3部についていた表題と考えられる(第1部には「プローテンノイアの教え 一」の表題が書かれている。第2部の表題は欠損のために不明であるが、「[宿]命[論 二]」と復元されている)。「父によって書かれたる聖なる書」「完全なる知識をもって」については、なぜ書かれたのかは不明である。プローテンノイアとは、ギリシア語の「プローテー」(最初の、という意味)と同じくギリシア語の「エンノイア」(思考、の意味)を合成して作った造語である。保存状態は中程度で、復元不可能な部分もある。ギリシア語原本からのコプト語訳だと推定される。本文書の神話論は、セツ派の文書である「エジプト人福音書」「ヨハネのアポクリュフォン」との並行箇所が多く、特に「ヨハネのアポクリュフォン」とは共通部分が多い。コーデックスIIとIV所収の「ヨハネのアポクリュフォン」(通称「長写本」)のエピローグを拡大して成立した文書に見えるが、「ヨハネのアポクリュフォン」自体の成立史が複雑である上に、「三体のプローテンノイア」自体も伝承史的に最も古い基層に2次的に文章を付加して作られたと見られるので、相互の関係は単純ではない。「三体のプロテーンノイア」は「ヨハネによる福音書」との関連性が指摘されている 2 この世界の起源について(の一部) 「三体のプローテンノイア」の最終ページあとがきに続いて、「この世の起源について」の冒頭十行分だけが残されている。このことから、コーデックスIIの「この世の起源について」とは別の異本が存在したことがわかるが、コーデックスXIIIには冒頭十行分以外は残されていない。
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