コンピュータのエミュレータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 05:27 UTC 版)
「エミュレータ (コンピュータ)」の記事における「コンピュータのエミュレータ」の解説
エミュレータは、対象となるハードウェア仕様を模倣して動作する。それを利用するソフトウェアやハードウェアに対しては、適切なインターフェースを提供する。提供されるインターフェイスは、製品として存在しない仕様のものであったり、エミュレーションを念頭において製造された仕様であったりする。 主な用途としては、 新しいシステムでも、古いソフトウェアを実行するため。(後方互換) あるコンピュータ上で、異なるオペレーティングシステムを同時に実行させる環境を構築する。 携帯電話、PDA、組み込みシステムなどのソフトウェアをクロス開発する際の実行環境として。 端末をエミュレートする端末エミュレータ。 ゲーム機やパーソナルコンピュータ向けのソフトウェアを、別の環境で実行する。 などがある。 商用で最初のコンピュータのエミュレータは、1958年のIBM 709に搭載された。またマイクロプログラム方式のCPUは複数の命令セットのサポートを容易とした。 一般にエミュレータは、タイミングの制約は考慮しないものが多い。例えば、Z80のエミュレータの動作速度は、実物のZ80の実行速度で動くとは限らない。1命令を実行するために必要なクロック数を考慮しないことも多い。ただし、リアルタイムの処理系を正確に再現する場合は、当然ながら配慮される。 ほとんどのエミュレータは、環境の違いを吸収するための、なんらかのトランスレーションを行いつつ実行される。従って、実行時のオーバーヘッドは避けられない。そのため実行環境は、エミュレーション対象よりも高速な処理能力が必要である。しかし、古いスペックのハードウェアを、十分に高速なハードウェアでエミュレーションした場合は、実機よりも高速に稼働してしまう場合もある。 メインフレーム・汎用機において、PCやUnixサーバ向けCPUを使ったエミュレータによって構成されているモデルがある。特別なハードウェアを搭載する必要がなく、ダウンサイジングを目的としたタイプに多い。これは、激化したPCやUnixサーバ向けCPUの性能競争の結果、メインフレーム/汎用機などに使われるCPUを、ソフトウェアでエミュレーションした方が速くなってしまったためである。 現代のPC向けCPUもまた、RISCプロセッサで作ったCISCプロセッサエミュレータである場合が多い。
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