グリーン・タフ
【英】: green tuff
東北裏日本油田地帯の新第三系下部層で、変質して緑色を呈する苦鉄質~珪長質{けいちょうしつ}の火山岩類を主体とし、泥岩、砂岩、礫岩{れきがん}などを挾む地層。緑色凝灰岩ともいい、従来は中新世前期~中期の火山岩類を主とする複合岩体を一括した総称として用いられたが、現在では、層位的に門前階、台島階、西黒沢階に区分されるようになったため、グリーン・タフという語は主に通称として用いられている。グリーン・タフとその上位の含油新第三系およびそれらの相当層が分布する地域をグリーン・タフ地域といい、東北裏日本を始め北陸・山陰、北海道西南部、フォッサマグナ地域などを含む。そこに形成された堆積盆地{たいせきぼんち}を総称してグリーン・タフ地向斜といい、そこでの構造発達をグリーン・タフ変動という。グリーン・タフ変動の発生時期は古第三紀末ないしは新第三紀初期といわれ、その造構形式は、部分隆起 → 断裂形成 → 陥没 → 火山活動 → 沈降という古い地質構造を切って発達した一連の運動で示される。石油地質においては、従来新第三系の基盤岩と見なされていたが、グリーン・タフ中の流紋岩や玄武岩のフラクチャーを主要貯留岩とする油・ガス田(見附油田、吉井・東柏崎ガス田、新片貝・南長岡ガス田)が発見されたことから、今では裏日本の油田地域においては、重要な探鉱対象層準と見なされるようになっている。 |

グリーンタフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/19 17:21 UTC 版)
堆積岩 | |
日本列島での分布
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構成物 | |
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火山灰 | |
プロジェクト:地球科学/Portal:地球科学 |
グリーンタフ(英語: green tuff)とは、凝灰岩のうち、緑色系統の色調を呈する物のことを指す。片仮名表記では表記揺れで、グリンタフと書かれる場合もある。また、緑色凝灰岩(りょくしょくぎょうかいがん)と呼称される場合もある。
概要
グリーンタフのグリーンは緑色を指し、タフとは火山灰が固まってできる凝灰岩を指す[1]。造山運動による変質作用によって生成された緑色を示す変成鉱物である[1]。
ただし、一口に緑色とは言っても、緑色や緑白色や淡緑色など、産出場所によって、その色調には差も見られる。グリーンタフが緑色を呈する理由は、岩石に含まれる輝石・角閃石などの造岩鉱物が、熱水の影響による変質により粘土鉱物の1種の緑泥石に変化したためである。
代表的な石材としては、次のような物がある。
造山運動と分布
太平洋周辺などでは主に約2600万年前から約500万年前にかけて、グリーンタフ造山運動と呼ばれる造山運動が起きた[1]。このグリーンタフ造山運動は欧米などで一般的に知られていた造山運動とは異なる点(変動の期間や地層の厚さなど)があるため、グリーンタフ変動と呼ばれる場合もある[1]。
グリーンタフは日本列島以外に、アジア東部の大陸地殻の部分にも存在する[1]。
グリーンタフ造山運動のエネルギーは約500万年前には、ほぼ尽きたとされているが、日本の秋田県や新潟県など、その名残と考えられる活動が存在する地域もある[1]。
土砂災害との関係
グリーンタフの固結の程度は地域により差異が見られる。固結の程度が極めて弱い物から、ガラス質の物まで産出し、前者については新潟県や山形県のグリーンタフが産出する地域において多く見られる。固結の程度が弱い地中のグリーンタフは、しばしば地滑りの滑り面となり、土砂災害の原因となる。
脚注
出典
参考文献
- 文部省 編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。 ISBN 4-8181-8401-2。
- 文部省、土木学会 編『学術用語集 土木工学編』(増訂版)土木学会、1991年。 ISBN 4-8106-0073-4。
関連項目
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