十和田石とは? わかりやすく解説

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十和田石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/17 19:07 UTC 版)

十和田石(とわだいし)は秋田県大館市比内町で産出される緑色凝灰岩(グリーンタフ)の商品名である。青白色の地に青緑色の地紋が入っており、保温性や保水性の高さから内装壁材やタイルなどの建材として使用されている[1][2][3][4]

鉄を還元性のある二価鉄の状態で含むことにより青色を呈するという特徴がある[5]

成分

十和田石は各鉱物が固まった複合岩石であり、十和田石が青石であるのは、石に含有される金属元素が酸化されていない、活性化した還元状態にあることによる。石粉を水に溶かしたものを測定すると、pH9程度の弱アルカリ性を示す。

分布

秋田県大館市 比内地区付近の山から採掘される。十和田石を産出する岩山の採石場周辺のボーリング調査によれば、地下数百メートル迄埋蔵されているものと推定されている。

特徴

  • 多孔質である。
  • 弱アルカリ性である。
  • 石質が柔らかく、加工が容易である。
  • 消臭・脱臭機能がある。
  • 消音性能が良い

用途

十和田石は石板として、また、内装壁材・擁壁 ・石塀・門柱敷石石垣等、建築素材として使用される。また、その特徴の防滑性、保湿性、保温性、抗菌性に加え、水にぬれるとさらに青く美しくなることとマイナスイオンのリラクゼーション効果から、温泉施設や介護施設の 浴室浴槽 の床材として人気が高く広く普及している。

近年ではその特徴から、石粉をバイオ素材・微生物飼料に、石粒を機能性壁材・土壌改良資材へと利用を広げ、環境石材としての活用性も認められてきている。

産出地の大館市比内地区周辺では、民家の石垣などにも十和田石が多く利用されているほか、「比内総合支所」の議場の装飾など、公共施設の壁材として、また「大葛温泉市民浴場」「大葛温泉比内ベニヤマ荘」「中野温泉(比内町高齢者生産活動施設内)」「ひない温泉」などの温泉に使われている。大館駅の構内に設置された忠犬ハチ公像の台座・額・由来案内板は十和田石造である。また、音を適度に吸収する音響特性にも優れることから、「東京藝術大学」のコンサートホール奏楽堂」にも採用されている。秋田県を代表する石材として、「秋田大学」、「大館市役所」などででも活用されている。また、奥入瀬渓流の法面擁壁等にも景観保護のために自然石である十和田石が活用されている。

採掘

地下50メートルの坑道内から、ブロック状に切りだして、地上に搬入、その後加工され、トラックや貨車で全国各地に運び出されている。

脚注

  1. ^ 中村, 貴司、大川, 浩一、川村, 洋平、高畑, 重幸、中, 秀男、菅原, 勝康「超音波を利用した比内緑色凝灰岩懸濁液の沈殿処理に関する研究」、『環境資源工学』第56巻第1号、2009年、 13-20頁、 doi:10.4144/rpsj.56.132017年10月17日閲覧。
  2. ^ 和嶋, 隆昌「アルカリ反応を用いた緑色凝灰岩砕石ケーキからの銀イオン担持能を持つゼオライト系物質の調製」、『日本イオン交換学会誌』第26巻第2号、2015年、 23-27頁、 doi:10.5182/jaie.26.232017年10月17日閲覧。
  3. ^ 十和田石 中野産業株式会社 製品案内”. 中野産業. 2017年10月18日閲覧。
  4. ^ 十和田石~やすらぎの天然青石~”. 秋田県大館市観光協会 どだすか大館. 2017年10月18日閲覧。
  5. ^ JP 4830112B2, 大川浩一, "重金属含有水溶液浄化剤及びその浄化方法", issued 2011-12-07

関連項目

外部リンク




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