グアンファシンとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 学問 > 化学物質辞書 > グアンファシンの意味・解説 

グアンファシン

分子式C9H9Cl2N3O
その他の名称グアンファシン、Guanfacine、N-(Aminoiminomethyl)-2,6-dichlorobenzeneacetamide、1-(α-Oxo-2,6-dichlorophenethyl)guanidine、2-(2,6-Dichlorophenylacetyl)guanidine
体系名:N-アミジノ-2-(2,6-ジクロロフェニル)アセトアミド、N-アミジノ-2,6-ジクロロベンゼンアセトアミド、N-(アミノイミノメチル)-2,6-ジクロロベンゼンアセトアミド、1-(α-オキソ-2,6-ジクロロフェネチル)グアニジン、2-(2,6-ジクロロフェニルアセチル)グアニジン


グアンファシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/21 23:46 UTC 版)

グアンファシン
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 Estulic, Intuniv, Tenex, others
Drugs.com monograph
MedlinePlus a601059
ライセンス EMA:リンクUS Daily Med:リンク
胎児危険度分類
  • US: B
法的規制
投与経路 By mouth
薬物動態データ
生物学的利用能 80-100% (IR), 58% (XR)[1][2]
血漿タンパク結合 70%[1][2]
代謝 CYP3A4[1][2]
半減期 IR: 10-17 hours; XR: 17 hours (10-30) in adults & adolescents and 14 hours in children[1][2][3][4]
排泄 Kidney (80%; 50% [range: 40-75%] as unchanged drug)[1][2]
識別
CAS番号
29110-47-2 
ATCコード C02AC02 (WHO)
PubChem CID: 3519
IUPHAR/BPS 522
DrugBank DB01018 
ChemSpider 3399 
UNII 30OMY4G3MK 
KEGG D08031  
ChEMBL CHEMBL862 
化学的データ
化学式 C9H9Cl2N3O
分子量 246.093 g/mol
テンプレートを表示

グアンファシンは、テネックス(Tenex)などの商品名で販売されている、 注意欠陥・多動性障害 (ADHD)や高血圧の治療に用いられる医薬品である[5]。ADHDや高血圧の治療にはあまり優先的には使用されない[5]。投与法は経口である[5]

一般的な副作用には、眠気便秘、口渇、性機能障害頭痛などがあげられる[5]。その他の副作用には、不安低血圧うつ病泌尿器障害などがあげられる[5]妊娠中または授乳中の人への投与は推奨されない[6]

作用機序は、脳内のα2A受容体を活性化し、それによって交感神経系の活動を低下させることにより、効果を発揮するものである[5]

グアンファシンは1986年に米国で医薬品として承認された[5]後発医薬品として入手可能である[5]。2019年の英国での国民保健サービスにかかった費用は1か月分約60ポンドである[6]。米国での卸売価格は1か月分約7.11米ドルである[7]

歴史

1986年、グァンファシンは高血圧症の治療薬としてアメリカ食品医薬品局 (FDA)から「テネックス」の商品名で承認された[8]。2010年、グアンファシンは6~17歳のADHD治療薬としてFDAによって承認された[9]。2015年には欧州医薬品庁によって「インテュニブ」の名称でADHDの治療薬として承認された[10]。 2018年にはADHDの治療薬としてオーストラリアの医薬品給付制度に追加された[11]

日本においても2017年に小児期におけるADHDの効能・効果で塩野義製薬からの「インチュニブ」の申請が承認され、2019年には成人患者に対する使用が認められた[12][13]

販売開始以来、塩野義とライセンス契約を締結したシャイアーの両者によるプロモーションが行われており、2019年にシャイアーが武田薬品工業に買収された後も塩野義と武田の両者によるプロモーションが継続されていたが、2023年4月以降は武田の単独プロモーションに移行。塩野義が取得していた製造販売承認についても武田へ承継されている[14]

商品名

アフケン(Afken)・エスチュリック(Estulic)・テネックス(Tenex)など。放出制御製剤(グアンファシン塩酸塩徐放錠)としては、インチュニブのブランド名がある。

研究

グアンファシンは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療薬として研究されている。成人における有効性の証拠は限られているが、1件の研究でADHDを併存する小児において肯定的な結果が得られている[15]選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に反応しない成人のPTSD患者への有効性も考えうる[16]

トゥレット障害の治療にグァンファシンを用いた研究も行われているが、その結果は様々である[17]

グアンファシンは、オピオイドエタノールニコチンの離脱治療の用途でも研究されている[18]。 グアンファシンは、禁煙を試みる喫煙者のストレス誘発性によるニコチン渇望の減少に役立つことが示されており、これには前頭前皮質の自己制御の強化が関与している可能性がある[19]

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c d e Guanfacine (guanfacine) Tablet [Genpharm Inc.]”. DailyMed. Genpharm Inc. (March 2007). 9 November 2013閲覧。
  2. ^ a b c d e guanfacine (Rx) - Intuniv, Tenex”. Medscape Reference. WebMD. 9 November 2013閲覧。
  3. ^ Hofer, Kristi N.; Buck, Marcia L. (2008). “New Treatment Options for Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder (ADHD): Part II. Guanfacine”. Pediatric Pharmacotherapy (14): 4. http://medscape.com/viewarticle/578747_4. 
  4. ^ Cruz, MP (Aug 2010). “Guanfacine Extended-Release Tablets (Intuniv), a Nonstimulant Selective Alpha(2A)-Adrenergic Receptor Agonist For Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder.”. Pharmacy and Therapeutics 35 (8): 448–51. PMC 2935643. PMID 20844694. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2935643/. 
  5. ^ a b c d e f g h Guanfacine Monograph for Professionals” (英語). Drugs.com. American Society of Health-System Pharmacists. 18 March 2019閲覧。
  6. ^ a b British national formulary : BNF 76 (76 ed.). Pharmaceutical Press. (2018). pp. 349–350. ISBN 9780857113382 
  7. ^ NADAC as of 2019-02-27” (英語). Centers for Medicare and Medicaid Services. 3 March 2019閲覧。
  8. ^ Drugs@FDA: FDA-Approved Drugs”. www.accessdata.fda.gov. 2020年5月14日閲覧。
  9. ^ Kornfield, Rachel; Watson, Sydeaka; Higashi, Ashley S.; Conti, Rena M.; Dusetzina, Stacie B.; Garfield, Craig F.; Dorsey, E. Ray; Huskamp, Haiden A. et al. (2013-04-01). “Effects of FDA Advisories on the Pharmacologic Treatment of ADHD, 2004–2008”. Psychiatric services (Washington, D.C.) 64 (4): 339–346. doi:10.1176/appi.ps.201200147. ISSN 1075-2730. PMC 4023684. PMID 23318985. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4023684/. 
  10. ^ Intuniv” (英語). European Medicines Agency (2018年9月17日). 2020年5月14日閲覧。
  11. ^ Doug Hendrie (2018年9月4日). “New drugs listed on the PBS for rheumatoid arthritis, cystic fibrosis and ADHD”. The Royal Australian College of General Practitioners. 2020年5月14日閲覧。
  12. ^ 「インチュニブ錠」グアンファシン塩酸塩徐放錠”. 日経バイオテクONLINE (2017年7月24日). 2020年5月14日閲覧。
  13. ^ 注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ® 錠 1mg・3 mg」成人患者に対する適応追加による一部変更の承認について”. www.takeda.com. 武田薬品工業 (2019年6月18日). 2020年5月14日閲覧。
  14. ^ 注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ® 錠 1mg・3 mg」・「ビバンセ®カプセル20mg・30mg」 に関するオプション権の行使と共同開発・商業化に関するライセンス契約終了について”. 武田薬品工業、塩野義製薬 (2022年10月31日). 2022年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月23日閲覧。
  15. ^ Connor, Daniel F.; Grasso, Damion J.; Slivinsky, Michelle D.; Pearson, Geraldine S.; Banga, Alok (2013-5). “An Open-Label Study of Guanfacine Extended Release for Traumatic Stress Related Symptoms in Children and Adolescents”. Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology 23 (4): 244–251. doi:10.1089/cap.2012.0119. ISSN 1044-5463. PMC 3657282. PMID 23683139. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3657282/. 
  16. ^ Belkin, Molly R; Schwartz, Thomas L (2015-08-14). “Alpha-2 receptor agonists for the treatment of posttraumatic stress disorder”. Drugs in Context 4. doi:10.7573/dic.212286. ISSN 1745-1981. PMC 4544272. PMID 26322115. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4544272/. 
  17. ^ Srour, Myriam; Lespérance, Paul; Richer, Francois; Chouinard, Sylvain (2008-8). “Psychopharmacology of Tic Disorders”. Journal of the Canadian Academy of Child and Adolescent Psychiatry 17 (3): 150–159. ISSN 1719-8429. PMC 2527768. PMID 18769586. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2527768/. 
  18. ^ Sofuogul, M. & Sewell, A. (2009), “Norepinephrine and Stimulant Addiction”, Addiction Biology 14 (2): 119–129, doi:10.1111/j.1369-1600.2008.00138.x, PMC 2657197, PMID 18811678, http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=2657197 
  19. ^ McKee, SA; Potenza, MN; Kober, H; Sofuoglu, M; Arnsten, AF; Picciotto, MR; Weinberger, AH; Ashare, R et al. (Mar 2015). “A translational investigation targeting stress-reactivity and prefrontal cognitive control with guanfacine for smoking cessation”. J. Psychopharmacol. 29 (3): 300–311. doi:10.1177/0269881114562091. PMC 4376109. PMID 25516371. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4376109/. 

グアンファシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 12:28 UTC 版)

注意欠陥・多動性障害」の記事における「グアンファシン」の解説

グアンファシン徐放剤商品名インチュニブ)が、2017年3月子供に対して認可された。非中枢神経刺激薬で、α-2アドレナリン作動薬分類され機序はまだ未解明だが、患者低下している前頭前皮質の後シナプス性アドレナリンα2受容体作用し多動性衝動性改善するとしている。延髄ではアドレナリン2A受容体刺激によって、交感神経抑制し血圧が下がることが知られており、この作用を持つグアンファシンやクロニジン高血圧治療薬であったが、以前よりADHD治療にも使われることがあった。。2019年6月より成人に対して認可された。

※この「グアンファシン」の解説は、「注意欠陥・多動性障害」の解説の一部です。
「グアンファシン」を含む「注意欠陥・多動性障害」の記事については、「注意欠陥・多動性障害」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「グアンファシン」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「グアンファシン」の関連用語

グアンファシンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



グアンファシンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
独立行政法人科学技術振興機構独立行政法人科学技術振興機構
All Rights Reserved, Copyright © Japan Science and Technology Agency
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのグアンファシン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの注意欠陥・多動性障害 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS