クリアリングハウスによる信用リスクの遮断
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 22:49 UTC 版)
「先物取引」の記事における「クリアリングハウスによる信用リスクの遮断」の解説
「クリアリング」および「クリアリングハウス」も参照 市場参加者同士が行った売買をクリアリングハウスと市場参加者(金銭の流れでは、クリアリングハウスと非清算参加者の市場参加者の間に清算参加者が入る)が売買代金の決済を行う方法「クリアリングハウス=セントラル・カウンターパーティー(central counterparty、CCP)」により、こうしたクリアリングの仕組みを通じ、個々の市場参加者(売り手・買い手)の信用リスクを遮断する。 万が一、清算参加者がクリアリングハウスに対する債務不履行を起こした場合でも、クリアリングハウスが債務については清算参加者に履行する義務を負うため、信用リスクは各清算参加者や取引先として物理的にきちんとした信用調査の出来ない未知の不特定多数の市場参加者の支払い能力ではなくクリアリングハウスの支払い能力のみということになる(自己売買と自社顧客の市場参加者の不履行の決済金を立替えて支払う立場「クリアリングハウスに対する自社顧客の市場参加者の保証人的立場」の清算参加者に決済の不履行が生じた時のクリアリングハウスの決済の履行能力)。 クリアリングハウスごとに制度が異なるが、例えば、清算参加者の違約対策として、適正な証拠金・預託金の確保、クリアリングハウスの強固な財産基盤、違約対策保険の導入や、清算参加者の相互保証(特別負担金)などで、違約対策財源等を確保している。その他、市場参加者の債務不履行時等でも清算参加者の立替金による決済も行っている。このような方法により市場参加者、清算参加者の債務不履行に対する対策が施されていて、他の市場参加者に債務不履行に伴う財産的な影響(利益を受け取れない)を与えないように配慮され、リーマンショック時においても、相対取引とは異なり、違約した清算参加者の損失を肩代わりするクリアリングハウスの財産状況が取引の担保の限度となるため、直接、取引相手の信用リスクを考える必要がなく、信用リスクが低い分だけ安心して取引ができ、決済が円滑になされていて評価されている。 株式会社日本商品清算機構における決済不履行時の対応例 指定商品市場毎に次の順序により損失の補填を行う。 (1) 当該清算参加者が当該指定商品市場について預託している自己分の取引証拠金 当該指定商品市場について預託している清算金 当該清算参加者が当該指定商品市場について預託しているその他の預託金等 当該清算参加者が返還請求権を有する当該指定商品市場分の委託分の取引証拠金 (2).当該清算参加者が会員として指定商品市場毎に指定市場開設者に預託している信認金 (3).株式会社日本商品清算機構の剰余金のうちから積み立てた「決済不履行積立金」 (4).指定商品市場毎に第三者による損失補償又は損失保証により受領する金銭(※2) (5).損失を補填し得ない指定商品市場に係る他の清算参加者が株式会社日本商品清算機構に預託している清算預託金 (6).損失を補填し得ない指定商品市場に係る他の清算参加者の負担 ※1 株式会社日本商品清算機構は、決済不履行が発生した場合であっても、決済を円滑に履行する必要があることから、指定決済銀行との間で「緊急融資枠」に関する契約を締結している。 ※2 指定市場開設者が有する違約担保積立金、特別担保積立金並びに指定市場開設者が付保する損害賠償保険。 (参考) 株式会社大阪証券取引所がインハウス型クリアリングハウスであった期間における先物・オプション取引のロスシェア・ルール(※現在、同社の市場業務は大阪取引所に引き継がれたほか、もはや大阪取引所はクリアリング業務を行っていない) 清算参加者の決済不履行による損失を、以下の順位により補填。 (1) 不履行清算参加者が株式会社大阪証券取引所に預託した自己分の取引証拠金及び清算預託金等 (2) 株式会社大阪証券取引所の先物取引等違約損失準備金 (3) 株式会社大阪証券取引所の利益剰余金(利益準備金、違約損失準備金及び先物取引等違約損失準備金を除く。)及び不履行清算参加者以外の清算参加者が株式会社大阪証券取引所に預託した清算預託金 (4) 清算参加者の相互保証(特別負担金)
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