キャデラックV型8気筒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 01:08 UTC 版)
「V型8気筒」の記事における「キャデラックV型8気筒」の解説
実用水準に達したV型8気筒エンジンの最初は、アメリカのキャデラック・1914年型である。当時の高級車で主流であった直列6気筒に対抗する見地から、エンジンの多気筒化による低振動・高回転化と、エンジン自体の小型化を両立させる目的で導入されたものであった。 1910年頃のキャデラックは高級車ながら4気筒エンジン車で、競合他社の6気筒化に乗り遅れていた。このためキャデラック社内では6気筒エンジン開発案が取りざたされていたが、創業者ヘンリー・リーランドの息子で経営幹部であったウィルフレッド・リーランドが前述のようなV型8気筒のメリットを主張し、ヘンリー・リーランドがこれを受容れたことで開発されたものである。 ド・ディオンのV型8気筒エンジン、そしてホール・スコットの航空用V型8気筒エンジンが開発の参考にされた。その結果開発されたキャデラックのサイドバルブV型8気筒エンジンは、高い加工精度と吸排気系統の適切な設計によって、5.2リットルで70hpという当時としては優秀な性能を発揮、回転もスムーズな高級車向けエンジンとなった。V型8気筒エンジンはキャデラックの世評を高め、大きな商業的成功を収めることになる。キャデラックがもともと精密工作技術に優れたメーカーであったことが、このV型8気筒エンジンの成功の背景になっている。 これに対抗する形でパッカードは1915年に「ツインシックス」と称するV型12気筒エンジンを開発、更に他社からもV型8気筒、V型12気筒が輩出し、ついにはV型16気筒まで出現するなど、アメリカの高級車業界においては1920年代以降、多気筒V型エンジンが一時隆盛を極めた。しかし当時の自動車ではボンネット短縮の必要性が必ずしも強くなく、クランクシャフトは長くなるがより製造しやすい直列8気筒も、1920年代後半以降の高級車で広く使われた。
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