キナーゼの活性化
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ErbBタンパク質の4つのメンバーは、成長因子リガンドによる活性化に伴って、ホモ二量体、ヘテロ二量体、そしておそらくより高次のオリゴマーを形成する。11種類の成長因子がErbB受容体を活性化する。 各成長因子の各ErbB受容体に対する活性化能が下の図で示されている。 リガンド 受容体 ErbB-1 ErbB-2 ErbB-3 ErbB-4 EGF + - - - TGF-α + - - - HB-EGF(英語版) + - - + アンフィレグリン(英語版) + - - - ベータセルリン(英語版) + - - + エピジェン(英語版) + - - - エピレグリン(英語版) + - - + ニューレグリン1(英語版) - - + + ニューレグリン2(英語版) - - + + ニューレグリン3(英語版) - - - + ニューレグリン4(英語版) - - - + 二量体化はリガンドがErbB単量体の細胞外ドメインに結合した後に起こり、単量体間の相互作用によってキナーゼドメインの活性化ループの活性化が確立され、ErbBの細胞内部分の特定のチロシン残基のトランスリン酸化過程が活性化される。この過程は、ドメインの特異性とErbBファミリーのメンバーの性質のため複雑なものとなっている。ErbB-1とErbB-4はErbBファミリーの中で最もよく研究されており、細胞内で機能的なチロシンキナーゼを形成する。ErbB-2には既知のリガンドが存在せず、ErbB-3には活性を持つキナーゼドメインが存在しない。そのため、これらはヘテロ二量体を形成することでチロシンキナーゼのトランスリン酸化を活性化する。ErbB単量体のテール領域に存在するY992、Y1045、Y1068、Y1148、Y1173に対し、主に特異的なトランスリン酸化または自己リン酸化が行われる。ErbB二量体の活性化に際しては、2つの単量体のキナーゼドメインが非対称型の二量体を形成することが必要である。チロシンキナーゼドメインの活性化は、PLCγ、ERK1/2、p38 MAPK、PI3K/Aktなど、あらゆる種類の下流のシグナル伝達経路を活性化する。 リガンドの非結合時には、ErbB-1、ErbB-3、ErbB-4の細胞外領域は10アミノ酸からなる二量体化アームが単量体間の相互作用を媒介できない、tethered型のコンフォメーションをとっている。対照的に、リガンド結合型のErbB-1と非リガンド結合型のErbB-2では、二量体化アームはuntethered状態となって受容体表面に露出し、単量体間の相互作用と二量体化が可能となる。細胞外ドメインの二量体化は、各ErbBの細胞内ドメイン間で特定のチロシン、セリン、スレオニン残基でのトランスリン酸化が可能となるよう細胞内ドメインを配置する。ErbB-1の細胞内ドメインでは、受容体の二量体化に伴って少なくとも10か所のチロシン、7か所のセリン、2か所のスレオニンがリン酸化、また一部の脱リン酸化(Y992など)が行われることが同定されている。リン酸化が起こる可能性のある部位は多数存在するが、二量体化に伴って一度にリン酸化されるのは1ヶ所(稀に2か所)のみである。
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キナーゼの活性化
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「RET (タンパク質)」の記事における「キナーゼの活性化」の解説
RETはGDNFファミリーリガンド(GFL)に対する受容体である。 RETを活性化するためには、GFLはまずGPIアンカーで膜に固定されたコレセプター(英語版)と複合体を形成する必要がある。コレセプター自身はGFRα(英語版)(GDNF receptor-α)タンパク質ファミリーに分類される。さまざまなGFRαファミリーのメンバー(GFRα1(英語版)、GFRα2(英語版)、GFRα3(英語版)、GFRα4(英語版))は、それぞれ特定のGFLに対して特異的な結合活性を示す。GFL-GFRα複合体が形成されると、複合体は2つのRET分子を結合させ、各RET分子のチロシンキナーゼドメイン内の特定のチロシン残基のトランス自己リン酸化を開始させる。キナーゼドメインの活性化ループ(Aループ)に位置するTyr900とTyr905が自己リン酸化部位であることは質量分析によって示されている。Tyr905のリン酸化はキナーゼの活性型コンフォメーションを安定化し、主にC末端のテール領域に位置する他のチロシン残基の自己リン酸化を引き起こす。
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