ERK1/2(古典的MAPK)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 14:10 UTC 版)
「分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ」の記事における「ERK1/2(古典的MAPK)」の解説
ERK1/2はMAPKファミリーの中でも最初に同定されたものであり、古典的MAPKとも称される。ERK1/2は分子量が44kDaのERK1と42kDaのERK2から成り、これらのタンパク質のアミノ酸配列は互いに85%の相同性がある。 ERK1/2の活性化は以下のような機序で生じる。上皮増殖因子受容体(英: Epidermal Growth Factor Receptor、EGFR)等のチロシンキナーゼ関連型受容体にリガンドが結合すると受容体細胞内ドメインのリン酸化が生じる。Grb2等のSH2ドメインを含むアダプタータンパク質が受容体のリン酸化チロシンに結合すると、Grb2はSH3ドメインを介してSosと結合し、Sosを活性化させる。活性化したSosはRasのGDP-GTP交換反応によりRasを活性化させる。以下、RasはMAPキナーゼカスケードへとシグナルを伝えていくが、RasはMAPキナーゼキナーゼキナーゼ (MAPKKK) であるRafを、RafはMAPキナーゼキナーゼであるMAPK/ERK kinase (MEK) を活性化し、このMEKによりERKの活性化が引き起こされる。ERKの活性化にはThr183及びTyr185が重要な働きをしている。通常ERK1/2は細胞質に優位に存在するが、活性化されることにより核内へ移行して転写因子と相互作用することにより転写の制御を行っている。この経路はPD98059、U0126等の試薬によって阻害される。
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