脊椎動物のアイソザイム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 13:46 UTC 版)
「ピルビン酸キナーゼ」の記事における「脊椎動物のアイソザイム」の解説
脊椎動物では、ピルビン酸キナーゼはL(肝臓)、R(赤血球)、M1(筋肉と脳)、M2(初期胎児組織と大部分の成体組織)の4種類のアイソザイムが発現している。L型とR型のアイソザイムはPKLR(英語版)遺伝子から発現し、M1、M2型アイソザイムはPKM(英語版)遺伝子から発現する。L型とR型のアイソザイムには2つの異なるコンフォメーション状態が存在し、一方は基質に対する親和性が高く、もう一方は低い。高い基質親和性で特徴づけられるR状態はピルビン酸キナーゼの活性化型として機能し、PEPとフルクトース-1,6-ビスリン酸(FBP)によって安定化されて解糖系経路を促進する。低い基質親和性で特徴づけられるT状態はピルビン酸キナーゼの不活性型として機能し、ATPとアラニンの結合によって安定化されてピルビン酸キナーゼのリン酸化を引き起こし、解糖系を阻害する。M2型アイソザイムは四量体または二量体を形成する。四量体はPEPに対する親和性が高いのに対し、二量体は低い。高活性の四量体型PKM2をリン酸化によって不活性な二量体へ変換することでPKM2の酵素活性は調節される。 PKM遺伝子は12個のエクソンと11個のイントロンから構成される。PKM1とPKM2は選択的スプライシングによる産物であり(PKM1がエクソン9を含むのに対し、PKM2はエクソン10を含む)、C末端の56アミノ酸(378–434番)のうちの23アミノ酸だけが異なる。PKM遺伝子はhnRNPA1(英語版)やhnRNPA2(英語版)といったhnRNPによって調節されている。ヒトのPKM2単量体は531アミノ酸からなり、A、B、Cのドメインに分けられる。PKM1とPKM2のアミノ酸配列の差異のため、PKM2はFBPによる調節や二量体・四量体形成による調節が行われるのに対し、PKM1は四量体のみを形成する。
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