ガーナへ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 04:37 UTC 版)
「シャーリー・テンプル」の記事における「ガーナへ」の解説
その後1974年から1976年にかけて民族主義が強まる時期のアフリカの大国ガーナへ、アメリカ特命全権大使として着任する。大使の職はアメリカでは政治任用ポストとされ功なり名を遂げた政治家や財界人、高名な学者、有力官僚などの中から任命される。日本のような公務員試験はないが、議会による厳しい資格審査(上下両院の外交委員会での長時間の口頭試問を含む)を経るため任用されないままに終わる者も多い。 アメリカ史において女優から大使になった者はシャーリー・テンプルの前にも後にもおらず、そもそも当時は女性の大使さえ非常に少数だった。彼女がガーナ大使になった時にガーナ人男性の中には女性だという理由で反発する者もいたが、108人のスタッフのトップとして1日17時間働いて仕事をきちんとこなすうち、称賛が反対にとってかわった。それまでの大使とは異なり、民衆の中に飛び込みガーナ人の心を掴むよう努めた。 ガーナ大使時代のエピソードを2つ紹介する。最初のエピソードは着任直後のものである。シャーリーは深夜、大使館の庭で捨て猫が哀れっぽくニャーニャー鳴く声を聞いた。哀れに思い拾って世話をしてやろうと庭に下り、声のする方を探してまわっていると、突然、ガーナ人の庭師が血相を変えて飛び出してきて、彼女を必死に建物の中へ引き戻したという。実は、夜になると近くのジャングルから無数の毒蛇があらわれるので庭に出てはいけないことになっており、子猫の鳴き声と思ったのは猛毒のコブラが餌に襲いかかる時の威嚇音で、シャーリーは噛まれる寸前だったことになる。 2番目のエピソードは、部下の大使館員と一緒に有力部族の大酋長に会いに行った時の話である。ガーナでは相手に靴の裏を見せることは最大の侮辱とされており、決してやってはならない仕草である。ところが、部下の大使館員は話に夢中になって靴の裏がだんだんと大酋長に向き始めた。シャーリーはやきもきして部下の大使館員に身振りで、靴の裏を大酋長に向けないように合図をしていた。そちらに気を取られて大酋長の言葉にうっかりイエスと答えてしまう。じつは大酋長はその時、第三夫人にならないかと言っていた。有頂天になった大酋長に第三夫人にすることをあきらめてもらうため、シャーリーには巧みな外交的な駆け引きが必要だった。
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