ガラパゴス化の背景
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この国際競争の側面における言葉の背景としては、オープンソースであっても独自様式に流れがちなエンジニア や、日本市場で独自の進化を遂げた携帯電話が世界標準からかけ離れてしまう現象 を指すため代名詞的に用いられていた。同時期に生まれた言葉として「パラダイス鎖国」が挙げられる。 ガラパゴス化というキーワードが正確にいつごろ発生したのか定かではないが、2004年11月30日に行われた「Open Source Way 2004」で、当時VA Linux Systems Japanのマーケティング部長・OSDNユニットのユニット長の佐渡秀治が、講演「OSS界のガラパゴス諸島、ニッポン」の中で、言語の障壁に由来する日本人のオープンソースソフトウェアに対する姿勢について述べる際に「ガラパゴス」の表現を使用したことがきっかけではないかとされている。総務省が2006年10月より開催したICT国際競争力懇談会 および、そのWG(ワーキング・グループ)では、小野寺正が野村総合研究所のNRI知的資産創造2006年11月号に北俊一が寄稿した論文「携帯電話産業の国際競争力強化への道筋-ケータイ大国日本が創造する世界羨望のICT生態系-」を取り上げたことにより、この記述が議事要旨 および最終とりまとめ で活字化され、携帯電話関係者の間ではある程度認識される用語となった。 その後、2007年12月の、野村総合研究所2015年プロジェクトチームのコメント や著作『2015年の日本 -新たな「開国」の時代へ-』 でも述べられ、より一般に広まった。 書籍では、非製造業が公的制度・商慣行面で日本市場に最適化している現状を「ガラパゴス化現象」と表現し、そこからの脱却(地域社会の開国、いわゆるグローバル化)を説いている。 野村総合研究所オピニオン は、以下のように定義づけている。 日本国内には、独特な環境(高度なニーズや規制など)に基づいた財・サービスの市場が存在する 海外では日本国内とは異なる品質や機能の市場が存在する 日本国内の市場が独自の進化を遂げている間に、海外市場では「デファクトスタンダード」の仕様が決まる 気がついた時には、世界の動きから大きく取り残される 野村総研が例に挙げたのは、上記の携帯電話、Felica方式非接触ICカード、ISDB方式地上デジタル放送、建設業である。さらに書籍『ガラパゴス化する日本の製造業 産業構造を破壊するアジア企業の脅威』(2008年)も出版され、一般に広まった。
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