カルノー‐サイクル【Carnot's cycle】
カルノーサイクル
1824年にフランスのカルノー(1796~1832年)によって考案された理論的熱サイクル。2つの等温変化と2つの等エントロピー変化から構成され、作動媒体が高温度と低温度間を等温膨張、断熱膨張、等温圧縮、断熱圧縮の4行程で1循環する熱サイクルであり、その効率は高温度と低温度の温度差で定まるというもの。つまりTS線図は、TmaxとTminとの間で長方形となり、最大の面積が得られる。したがって、カルノーサイクルは、熱エネルギーを機械的仕事に変換する最善のプロセスであり、これ以上の効率をもつプロセスは存在しない。ちなみに、内燃機関はカルノーサイクルとは別の熱力学的サイクルに従って作動する。
参照 手熱機関カルノーサイクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/17 16:57 UTC 版)
カルノーサイクル(英: Carnot cycle)は、温度の異なる2つの熱源の間で動作する可逆な熱力学サイクルの一種である。ニコラ・レオナール・サディ・カルノーが熱機関の研究のために思考実験として 1824 年に導入したものである [1]。 カルノーの導入以降しばらくは注目されなかったが、19 世紀後半にウィリアム・トムソンにより再発見された後に本格的な熱力学の起点となり、熱力学第二法則、エントロピー等の重要な概念が導き出されることになった。
- 1 カルノーサイクルとは
- 2 カルノーサイクルの概要
カルノーサイクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 01:22 UTC 版)
「ニコラ・レオナール・サディ・カルノー」の記事における「カルノーサイクル」の解説
カルノーは、熱機関の最大効率を生み出すには、可逆的な過程が必要だと考えた。そして、以下のような仮想的な仕組みを考案した。これはカルノーサイクルと呼ばれている。 図1 : 等温膨張 図2 : 断熱膨張 図3 : 等温圧縮 図4 : 断熱圧縮 図5 : 等温膨張。図1に戻る 図6 : これが、カルノーサイクルである。 空気を入れたシリンダーと、高温源A、低温源Bを用意する。 まず、シリンダーをAと接触させる。この状態でAからシリンダーに熱が供給されると、シリンダー内の空気が膨張し、ピストンを押し上げる。この時、シリンダーはAと接触しているので、シリンダー内の空気の温度はAのまま変化しない(等温膨張、図1)。 次にシリンダーとAを離し、ピストンを断熱状態にする。ピストンは上がり続けるが、熱源が無いためシリンダー内の温度は下がる(断熱膨張、図2)。 シリンダー内の空気の温度がBと同じ温度まで下がったところで、シリンダーとBを接触させる。そしてピストンを下降させると、空気は圧縮される。そして圧縮によって発生した熱が、シリンダーからBへと移動する。シリンダーの温度はBのまま変化しない(等温圧縮、図3)。 シリンダーとBを離し、ピストンを断熱状態にする。ピストンはさらに下がり空気は圧縮される。この時熱が発生し、シリンダー内の空気の温度は上がる(断熱圧縮、図4)。 シリンダー内の空気の温度がAと同じ温度まで上がったところで再びシリンダーをAと接触させる。Aからシリンダーへ熱が伝わり、シリンダー内の空気は膨張する(等温膨張、図5)。こうして、図1と同じ状態となる。 この過程で、シリンダー内の空気はAから熱をもらい、Bに熱を与えている。つまりAからBに熱が移動したことになる。そしてその過程で、ピストンを上下させるという仕事を行っている。仕事に使われる以外の余分な熱の移動は無いため、これが熱機関の最大効率となる。また、上の説明では空気を膨張・圧縮させたが、カルノーの定理によれば、最大効率は熱を伝える物質には依存しないのであるから、これは空気以外の気体、あるいは液体や固体でも理論的には構わない。 なお、例えば図1のとき、Aからシリンダーへと移動した熱が無駄なく仕事に使われるためには、接触した時点でAとシリンダーの温度差は小さいのが望ましい。というのも、温度差があると、Aからシリンダーへと移動した熱は、シリンダー内の空気を温めるのに使われてしまい、その分ピストンを押し上げるのに使われる熱が少なくなってしまうからである。よって、最大効率を得るためにはAとシリンダーは同じ温度でなければならない。しかし、先述の通り実際には温度差がないと熱は移動しないため、同じ温度では仕事は行われない。 そこでカルノーは、両者の温度差は無限に小さいと定めた。こうすることで、等温変化のどの状態であっても、空気とAは同じ温度を保つ。そして熱は無限にゆっくりと伝わり、ピストンは無限にゆっくりと上昇する。これは現在では準静的過程と呼ばれる手法である。 さらに、カルノーはこのサイクルを逆方向に行うことで、仕事から温度差を生み出せることにも触れている。これは現在逆カルノーサイクルと呼ばれている。
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